思わず、市庁舎の建て替えについて、市議会議員の一人が口にした言葉を思い出した。

 「西川市長の性格ですよ。現在ある場所から、全く違う場所へ移すという挑戦的な考え方を持ち得ない。だから、今の、狭い土地の中で建て替える、という無難な案を採用した。その結果が窮屈な設計になり、〝シビックセンター〟などというキャッチフレーズ的な言葉に引っ張られ、一階に形だけの市政情報コーナーだとか、市民活動・交流支援だのをつくる案にせざるを得ないわけです。市長の性格が全てですよ」

 十一日に開かれた市議会の「旭川大学の市立化等調査特別委員会」(次号に詳報)の西川市長と六人の市議のやり取りを聞いていて、「市長の性格ですよ」の言葉を思い出したのだった。それほど市立大学を開学することに情熱を持っている、「デザイン」を中心に据えた「ものづくり系学部」の新設に意義を見出しているならば、反対意見が少なくないとされる市議会をもう少し早く説得したり、納得させたりする方法があったのではないか。なぜ、市長選挙を二カ月後に控えた、この時期になって「三十四万人の人口を持つ中核市・旭川に市立大学を」と熱く語ることになったのか…。正直言って、いささか当惑した。もちろん、二〇一五年に亡くなったカンディハウスの創業者、長原實さんを中心に活動を続けた「旭川に公立『ものづくり大学』の開設を目指す市民の会」の末席を汚す一人として、歓迎の気持ちを抱きつつではあるのだが。

 上村ゆうじ議員(自民党・市民会議)とのやり取りを再現してみよう。

 上村 市長は繰り返し「旭川大学の公立化について、任期中に判断する」と述べて来た。(十一月十六日までの)任期中に判断できるのか。

 市長 民間のコンサルタント会社に委託している調査の結果が出るのが十一月十二日だと聞いている。任期中の判断は難しい。

 上村 先ほども申しましたが、市長選挙がある。四期目も、市長自身が担うということを前提に検討作業を進めてきたのか。

 市長 三期の任期中に判断したいと考えていた。四期目をやらせてもらえるか分からないが、もし四期目もやらせてもらえるならば、この大学の問題は早急に道筋を付けていかなければならないと考えている。

 上村 市民をバカにしていませんか? もしかしたら(市長職を)続投しているかも知れません、していないかも知れません、というのでは、議会に対して、市民に対して、不誠実だ。(中略)

 市長 これまでの検討作業が無駄にはならない。十一月十六日以降、誰が市長になるかわからないが、これまでの意見を踏まえてしっかり検討してくれれば良い。

 上村 市長の掲げた公約は「若者」をキーワードに新たな大学をつくるということだった。現在は、旭川大学を受け継いだ形の中で、新しい学部をつくるということで検討している。当初の趣旨と変わって来ているという認識はあるか。

(工藤 稔)

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