二十日朝、出勤する途中のカーラジオのNHK「今朝のニュース」を聞いていて、たまげた。ざっくり以下のような原稿だ。


 ――今日、自民党総裁選挙が行われ、安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破り、三選を果たす見通しです。

 公職選挙法が適用されない選挙とはいえ、事実上の一国の首相を決める公党の選挙。しかも全国の党員・党友による投票は十九日に締め切られているが、国会議員の投開票が行われる当日の朝である。仮に、地方の首長選挙では珍しくない自民・立憲・公明・希望・維新・社民が推薦する△△候補VS共産推薦の○○候補の一騎討ちであったとしても、投開票当日の朝、「△△候補が、○○候補を破り当選する見通しです」なんてニュースを流すか? その意図するところは、自民党所属の国会議員に向けて、「すでに決まっちゃってますよ」というダメ押しのメッセージを発すると同時に、国民に対しては「安倍首相」「三選」「選挙に強い」というサブリミナル効果を狙った“ささやき”と勘ぐるのは思い過ごしか。

 それにしても、総裁選の出馬表明を大河ドラマ「西郷どん」の鹿児島から実況中継し、首相お気に入りの女性解説委員がスタジオ解説して恥じない“安倍さまのNHK”だから、大抵のことには驚かないけれど、報道機関として、しかも国民から受信料を徴収して成り立っている公共放送が、ここまでやるか? 改めて、政治に関する、特に安倍晋三という政治家とその政権についてのNHKの報道には、眉に繰り返し唾(つば)を塗り、よほど覚悟を決めて接しなければなりませんよ、皆さん。よいですね。枕は、ここまで。

 軽くお酒が入る会合で、市長選挙の話題になった。四選を目指す現職・西川将人市長(49)と今津寛・前衆議の次男、寛介氏(41)の二人の戦いになるとして、結果をどう読む、という話である。「四選目は、しがらみが多くなって業界と癒着のような状況が生まれやすいし、十二年もやっていれば、市民にとっては“飽き”が来ている。だから、戦い方によっては新人が付け入るすきはある。代議士のオヤジの影や自民党色を消すことも戦術の一つだろう」と七十代の男性経営者。

 会社員の五十代の男性は「現職は強いと思う。特に西川さんは女性に人気がある。誠実そうに見えるのかな。それに、あさひかわ新聞じゃなかったかい? 市庁舎の建て替え計画で、まちづくり協議会と西川市長が市内五カ所で意見交換会を開いたら、永山地区では、ほとんど反対意見は出なかったって書いていた。出身地で、今も住んでいる永山地区では、西川さんは絶大な人気がある。それだけを見ても、新人の今津が、現職の西川に太刀打ちできるとは、到底思えない。旭川市長選の歴史の中で、現職が新人に負けたのは、五十嵐広三後継の松本(勇)市長が、新人の坂東徹に敗れた選挙(一九七八年)だけだ。現職は、それだけ強いということさ」と力説した。

 話は発展し、「じゃあ、今津に勝機をもたらすとすれば、有権者に何を一番に訴える?」となった。

(工藤 稔)

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