市議会の決算審査特別委員会の総括質疑が五日、市長が出席して本会議場で行われた。

 市が新庁舎の基本設計案を公表したのは今年三月。それまで議会では庁舎の建設について、強い異論は聞かれなかったが、具体的な設計案が示されると情勢は大きく変わった。一階を市民活動や交流のスペースとし、二階に総合窓口を、三階に福祉や子育て関係の窓口を配置するレイアウトに対して、市民から異論が噴出したのだ。

 支持者からも「どうして一階に窓口を置かないのか」との疑問の声が多数寄せられた自民党・市民会議(安田佳正会長)が、「このままでは、設計案に賛成できない」と市長に直談判する事態に発展した。同会派が反対する理由の一つに、現在民間ビルに入居している教育委員会や農政部は新庁舎には入れず、相変わらず〝タコ足庁舎〟は解消されない、という現実がようやく理解された、という事情もある。議員にしてそうなのだから、一般市民は「それなら、新庁舎を建てる意味がないじゃん」となるのは当然だと言える。

 総括質疑で、上村ゆうじ(自民党・市民会議)と中野ひろゆき(公明党)両議員が新庁舎について質問した。西川将人市長の答弁と併せて、その核心部分を紹介しよう。あくまでも私が判断する核心部分の要旨である。まず上村議員の質疑。

 ――一階の八十五平方㍍というスペースは、市長の選挙公約(二〇一四年)で掲げた「市民でにぎわい、親しまれる、市庁舎機能を持つシビックセンター」という構想とは程遠い。この制約されたスペースで、市長がおっしゃる、旭川らしさの発信や市民活動の支援の機能を充実できるのか、理解できない。「シビックセンター」という八文字は、かけ替えるべきではないか。議会もこの言葉に振り回されてきた。市民も、この言葉がない方が理解しやすいのではないか。

 西川市長の答弁 シビックセンターという言葉は、あまり馴染みがないため分かりにくいという声があるのは承知しているし、受け止め方によって様々だろう。しかし、基本理念に込められた、多くの市民でにぎわい、皆さんに親しまれる、新たな旭川の顔、というイメージでとらえられている方が多いと考えている。この言葉については、多くの市民の理解をいただいているものと認識している。

 ――基本計画策定のスケジュールはすでに三カ月も遅れ、見通しも示されない。十一月には、市長選挙がある。選挙の前に、市長として自身の任期中に、市民の審判を仰ぐ前に、最終案を示す気概はなかったのか。

 西川市長の答弁 五十年に一度の大事業だ。より多くの市民の理解をいただき、議会の様々な意見をしっかりと受け止めて、長く愛され、親しまれる建物にしなければならない。そう考えると基本設計案を見直す必要がある。そのため決定が遅れているということだ。

(工藤 稔)

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