比布町との境界にある突哨山では昨年、ヒグマ二頭が出没したため、遊歩道が閉鎖され、入山禁止が十二月まで続いた。指定管理者のNPOもりねっと北海道(山本牧代表)は、旭川市と比布町などと協議・検討を進め、今年は目撃や痕跡があったら、一時的に遊歩道は閉めるが、現地調査を行い、「問題グマではない」と判断した場合は、「クマがいます」という警告を表示した上で、入山を認めるルールに改めることにした。
 雑木林に覆われたこの丘陵地は、民有地の男山自然公園を含め約二百二十㌶。北側のほとんどの林地は旭川市と比布町の公園となっている。早春の野草・カタクリの大群生地として全国に知られ、四月中旬からゴールデンウイークにかけて大勢の“花見客”が散策路を利用する。
 突哨山では二〇一八年五月から八月にかけて、中型と小型のヒグマ計二頭が公園区域に入り込んだため、ただちに入山禁止の措置が取られ、十二月まで遊歩道が閉鎖された。
 全道の研究者らでつくるヒグマの会(事務局・江別市)の副会長も務める、指定管理者のもりねっとの山本代表によると、今年も突哨山にクマが現れる可能性があるという。

 もりねっとと旭川市、比布町が所有する自動カメラ十台や痕跡プレートを設置し、それらの記録や目撃情報、関係機関からの通報があった場合、もりねっとが一時的に遊歩道を閉鎖して、速やかに現地調査を行う。ここまでは、昨年と同じだ。

 調査データをもとに、道の基準「ヒグマ出没時の対応指針」(二〇一八年)に基づいて危険度の判断を行う。①人間を恐れて避ける、②人為的な食物に執着しないなど、問題個体ではないと判断した場合は、閉鎖を解除する。山本代表によれば、一日か二日の間に、閉鎖を続けるか、解除するかを判断するそうだ。

 閉鎖を解除する際には、遊歩道の出入り口に、「クマがいる」という警告と出現情報を掲示する。情報ボックスに「鈴」を用意して、入山する人に衣服やザックに付けてもらい、下山した折に回収する。また、林内の三叉路などに、鉄管の「鐘」を設置して、入山者に木づちで叩いて「カーン」と音を立ててもらう。「クマに人間がいるよ、と知らせると同時に、人間にクマの存在を意識してもらうためです」と山本代表。これらのクマ対策は、目撃情報がなくても、実施する予定だ。

(工藤 稔)

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