原発から出る「高レベル放射性廃棄物」の地層処分についての説明会が三十日(木)午後六時二十分から、道北経済センター(常盤通一・旭川商工会議所ビル)で開かれる。経済産業省資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO・ニューモ)の主催だ。

 あさひかわ新聞を隅から隅まで熱心に読んでくれる読者から、「珍しい広告が載っていましたが、まさか宗旨替えしたわけじゃないですよね」とメールが届いた。あさひかわ新聞の今月六日号五面に、「『科学的特性マップ』に関する対話型全国説明会」の開催を知らせる広告を掲載した。原子力発電について、小欄は「いかなる理由でも反対」を明らかにしているのにNUMOの広告を載せるのですか、という趣旨である。以下、メールのさわりを。

 ――おそらく貴兄は「説明会の開催を広く読者に知ってもらうため」と言うのだと思います。それはそれで理解できますよ。ただ広告を載せると料金が発生しますよね。あさひかわ新聞のような、地方の小さなウイークリーは、この活字離れ、新聞離れ、定期購読者減というまことに厳しい環境のなかで、広告による収入は喉から手が出るほどのものでありましょう。それを責めるつもりはありません。毎週、楽しませてもらっているのですから。でも、何か少しひっかかります。広報のためなら、お知らせ記事でいいじゃない。広告ではなくて。こんな言いがかりは酷ですね。(引用終わり)

 この説明会の目的をNUMOの立場で説明すると。

 ――原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物」は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地層処分(地下深くの安定した岩盤に埋設)に向けた取り組みを確実に進めなければならない。国は二〇一七年、地層処分の仕組みや地質環境などを国民に理解してもらおうと、全国地図に地域の科学的特性を示した「科学的特性マップ」を公表した。そのマップに沿って、処分地選定に向けた今後の進め方や地層処分事業が地域に及ぼす影響、安全確保に向けた取り組みなどについて情報・意識を共有し、地層処分についての理解を深めてもらうための説明会。決して特定の地域住民や自治体に対して、地層処分施設の調査や受け入れの判断を求める目的ではない。

 ちなみに、聞きなれない「科学的特性」とは、「近くに火山がある」「活断層のそば」「油田・ガス田・炭田がある」のほか、輸送面から「海岸から近い」などの要件・基準で“色分け”される区分の意味である。

 NUMOは、この説明会を福島県を除く四十六の都道府県庁所在地で開催し、昨秋からは各都道府県の主だった市で開催し始めている。道内では札幌市に次いで二番目。六月四日に函館、十九日に北見でも行われる。

 広告を載せた後、NUMOの広報担当の女性が、「説明会について説明したい」と来社した。東京からわざわざ。彼女によると、説明会は映像を使って地層処分の説明をした後、「きめ細かく答えるため、小人数のテーブルに分かれて質問などに答える」形で行う。テーブルごとに、資源エネルギー庁とNUMOの職員が配置されるという。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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