夏の参院選に合わせて衆院が解散されて衆参同日選になるのではないか、とか、十月に予定されている消費税の一〇%への増税がまたまた延期されるのではないか、とか、すべての国民に影響を及ぼす重大事が、総理大臣というたった一人の男の胸三寸で決められていいものなのだろうか。しかも、政権維持という、まことに恣意的な理由で。いつから、この国の総理大臣は、そんな独裁的な権力を獲得してしまったのだろう。

 マスメディアは、その理不尽をほとんど取り上げない。あたかも「安倍一強」と言われる政治状況の下で、それが当たり前のように報道され、受け取る側も何の疑問もなく受け入れる。公共放送であるはずのNHKが、政権に都合の悪いニュースや情報は取り上げない、触れない、という手法で後押しする。具体例を挙げてみれば。

 つい最近、五月十日午前八時四十八分ごろ、日向灘を震源とする地震があった。最大震度5弱。この時、NHKのニュースは、宮崎や熊本の市町の震度を伝えたが、震度3だった愛媛県は無視した。画面に地図と震度が映ったのだけれど、四国電力の伊方原子力発電所がある、佐田岬半島は文字の下になって見えない。ニュースは伊方原発の存在を消した。

 私たちは、地震と聞いた瞬間、パブロフの犬のごとく、「近くに原発はないか?」と考える。八年経ったって、フクシマの惨劇は続いている。忘れられるものか。この日向灘沖地震のニュースで私たちが知りたいのは、震源から近い、伊方原発や鹿児島県の川内原発の情報だ。なぜ、取り上げない。原発再稼働を推し進めたい現政権への忖度、あるいは消極的応援だと私には映る。

 断っておくが、消費税を予定通り上げろ、と主張しているのでは決してない。消費税を上げる、上げないを世論操作の道具に使うな、と言っているだけだ。消費税は、貧乏人をさらに貧乏にする。欧米の消費税に比べると、日本はまだまだ安い、という論を耳にするが、その中身は全然違う。このことについては、またの機会に。

 つまり私たちは、怒らなくてはいけない、と言いたい。「嘘つき」はどこまで行っても「嘘つき」だと知らねばならない。エコヒイキするやつは、どんな場面でもエコヒイキするものだと、私たちは経験則で知っているはずなのに。この政権になって十二月で七年になる。元号が替わって、何もかもがリセットされたように勘違いさせられているが、この六年半、具体的に、何かいいことがあったかね? 枕はここまで。
 全く違う話の流れで、旭川大学の公立化について、猛烈に反対する意見を聞かされた。その理由は多々あるらしいのだが、彼が旭川大学が公立化されるのは「ほぼ決定している」と考えていることに驚いた。根拠は、「だって、北海道新聞が書いていたじゃない」である。

(工藤 稔)

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