過日、メールをやり取りしている友人に次のように書いた。

 ――このデタラメな政権が、どうして五〇%もの支持率を維持しているのか、理解できないでいます。家人は、自民党が粛々と続けて来た「愚民化教育」の成果が表れているんじゃないか、と言います。極右の歴史修正主義者たちの本が軒並みベストセラーになるのを見ても、三十代以下に安倍支持者が多いことも、家人の説を裏付ける気がします。

 翌日、友人から次の返信が届いた。

 ――歴史修正主義の輩に共通しているのは、歯切れのいい言葉を多用することが挙げられますよね。櫻井よしこや、百田なんかはその典型でしょう。

 若者たちは、今の閉塞的な状況の中で、何かスケープゴートを造りだされ、バシッと結論を言われると、スッキリするというのか、自分たちの言いようのない“モヤモヤ”を代弁してくれていると思うのではないでしょうか。

 ヒトラーが、政権を取ったのも、屈辱的なベルサイユ条約による、ドイツ国民の“モヤモヤ”を払拭してくれたからでしたよね。大阪で、維新が隠然たる勢力を保ち続けているのも、同じことでしょう。とても危険な状況だと思います。

 それと、歴史修正主義者たちは、論理のすり替えの天才揃いです。これが、凄いです。しかも、シレッと言い切りますからね。

 安倍も、国会で、質問にまったく答えず、すり替え手法を、シレッとしますからね。これを、追及しようとしない、マスメディアの責任は重いと思いますよ。(引用終わり)

 首相のその「すり替え手法」をつい先日、党首討論で見せつけられて胸が悪くなった。立憲民主党の枝野幸男代表が、金融庁の報告書をめぐる一連の問題で、本質は国民が年金制度に大きな不安を抱いていて、政府はその不安にきちんと向き合って根本的な解決策を提示すべきではないか、と質問した。安倍首相は次のように答えた。

 ――先般の金融庁のワーキンググループの報告の問題点は何か、ということでありまして、枝野議員もすでに指摘をされましたように、平均値で見るのがいいのか、ということでございまして、ここに大きな問題があったわけでありまして、この報告書によるとですね、月々、年金生活者の方々が五万円不足する、いわば、五万円赤字であって、そしてそれは九十五まで生きれば、二千万円になるということからですね。大きな誤解が生じたわけでございますが、これには前提条件があり、前提条件としては、二千五百万円平均で預金があると、その預金の中から五万円ずつを活用して生活をしていくということでありますが、平均値でございますので、二千五百万円預金があるということに、そんなにないよ、と違和感を感じる方々もたくさんおられるのではないか、ということでありまして、大切なことは何か、と言えば、年金生活者の生活実態は多様でありまして…

 こんな調子で、意味不明の答弁が延々と続いた。党首討論は、野党四党合わせて四十五分。テレビ中継されているのを知った上で、この「時間稼ぎ作戦」である。国民は完全になめられている。私たちは、直近の選挙で「お仕置き」をするしかない。枕はここまで。

 前号の小欄は、六十年の歴史と建築学的、文化的価値を有する現赤レンガ庁舎をどうにかして活用するよう検討してほしい、と書いた。「どうしても、あきらめきれない」と。読者から、メールや手紙が届いた。市民の多くは、現庁舎の「文化的価値」や「深く秘められた物語」を知らされていないのだと、改めて実感する。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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