北海道を代表する工芸品「優佳良織」の事業を運営する北海道伝統美術工芸村の倒産から二年半、その技術を伝承する活動が始まっている。

 二〇一八年春、自身も債権者だった高嶋良樹さん(55)は、技術伝承のカギを握る織のベテランや、糸を紡いだり染めたりする技術者らの協力を得て、「優佳良織工房」(川端町六)を設立した。この地で生まれ、半世紀にわたり織り続けられた優佳良織を途絶えさせたくないという強い思いからだった。

 優佳良織の創始者・木内綾さん(一九二四―二〇〇六)と、その後継者和博さん(一九四六―二〇一六)と親交があった高嶋さんは、税理士と宅建士の資格を持つ。和博さんに依頼され、倒産の数年前から同社の運営を手伝う形で社員として勤務していた。

 倒産の翌年、市民有志が優佳良織の存続を願う会をつくり、地元はもとより全国から八万三千六百五十四筆の署名を集めて、市長と市議会議長に退出した。そうした声を受け今年度、市は優佳良織を次世代に伝承するための助成金として七百二十万円を計上した。

 高嶋さんを代表とする優佳良織伝承の会が新たに設立され、今春、二人の若い女性が優佳良織を学びたいと入会した。廣島亜衣さん(26)と藤川舞さん(37)。二人とも、染織工芸としての優佳良織の技術を身に付け、時代を超えて伝えて行きたいという熱意をもって志願した。

 指導するのは、木内綾・織元が創作した「流氷」「秋の摩周湖」「サンゴソウ」など三十七に上るテーマ作品を全て織ることができる菅原操さん(67)と、菅原さんの弟子の佐藤真由子さん(58)の二人だ。

(工藤 稔)

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