旭川市と比布町にまたがる自然公園の突哨山で、ヒグマが確認された。昨年に続くヒグマの出没だが、市と町は「問題グマではない」と判断し、注意を喚起する対策をとった上で、入山制限は行わないと発表した。

 公園の指定管理者NPOもりねっと北海道(山本牧代表)によると、クマが確認されたのは、今月二十日。同日夜、オサラッペ・コウモリ研究所(出羽寛代表)の研修会が同山であり、その帰途、全山に十台設置している監視カメラの一台のSDカードを回収。そのデーターで十四日午後十時半ごろ、遊歩道を歩くクマを確認したという。その地点から約百五十㍍離れた遊歩道に設置したカメラにクマは写っていなかった。

 翌二十一日午前中、三カ所の入山口の「ヒグマ情報看板」を通常のものから、「調査中 一時閉鎖」に取り替え、閉鎖ロープを張った。

 市と町、もりねっと北海道は、今年度から、道の基準「ヒグマ出没時の対応指針」(二〇一八年)に基づいて危険度の判断を行うと決めている。その判断に照らすと、①深夜の行動である、②遊歩道をずっと歩いているわけではないから人目を避けている、③人為的な食物に依存しているとも考えられない、などの理由から、「問題グマではない」と判断。二十二日午後、「注意 ヒグマ出現」の警告プレートを追加で啓示。閉鎖を解除した。プレートでは、ヒグマの写真と位置情報のほか、複数での入山や、入口の「情報ボックス」に常備している鈴を装着するよう呼び掛けている。

 もりねっと北海道によると、クマは春から七月二十二日までの間に、突哨山の遊歩道で二回(七月十四日、十九日)、道央自動車道に架かる比布跨道橋で二回(六月九日、三十日)、自動カメラに写っている。昨年は、五月から八月にかけて今年と同じような場所でヒグマ二頭が確認され、十二月まで入山禁止が続いた。跨道橋のクマはかなり若く、昨年のチビクマと似ているが、同じクマかどうかは分からないという。

 今号の「ミニ事件簿」にあるように、東神楽町で二十六日朝、体長百八十㌢、体重二百五十六㌔のクマがハンターによって射殺された。全道の研究者らでつくるヒグマの会(事務局・江別市)の副会長も務める山本代表の「野生のヒグマに対する畏怖はあって当然ですが、食われるとか、襲われるという事実とは異なる恐怖感は判断を誤らせます。お互いに出くわすのを避けつつ、背中合わせでクマと付き合いをする、市民にそんな考え方を持ってもらいたいと考えています」という言葉を噛みしめている。
 友人知己に「聞きに行ったんだろう? どうだった?」と尋ねられる。二十五日に行われた旭川商工会議所創立百周年の記念講演会のことである。講師の櫻井よしこ氏について、読者から「経済団体の商工会議所が、なぜ極右の政治団体の広告塔である櫻井氏を講師に選んだのか。その理由を教えてほしい」とメールが届き、関係者に取材して小欄で書いた(二日号)。末尾に「私も、ジャーナリストの櫻井氏が何を話すのか、聞きに行こうと思っている」と書いていたから、その報告をしなさい、という意味である。

(工藤 稔)

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