六月一日に就航した旭川―仁川(韓国ソウル)線が、当初の予定を一カ月前倒しされ、九月二十九日から運休となる。週五往復、アジア有数のハブ空港(国内線から国際線・国際線から国際線の乗り継ぎがスムーズにできる空港)である仁川と結ばれる利便性を私たちは一カ月早く失うことになる。

 日本と韓国の関係は、悪化の一途をたどる。私はほとんど民法テレビ局の番組は視聴しないが、ワイドショーなどでは、「嫌韓」を煽るコメンテーターが、韓国に対して「(東京オリンピックに)嫌だったら別に来なくても結構だ」などと発言していると漏れ聞く。

 二〇一八年に日本を訪れた外国人の四人に一人が韓国人だ。人口約五千百万人の韓国から、約七百五十万人が来日している。韓国の国民の実に七人に一人が来日した計算だ。

 もう五年ほど前になるが、所属する団体の旅行で熊本城の天守閣に登ったとき、狭い階段で派手な服装の団体客と一緒になり、にぎやかな韓国語が飛び交っていた。家人と「この城が、(豊臣秀吉の朝鮮侵略に従って出兵した)加藤清正がつくったものだと知って来ているのかね」と話したのを憶えている。福岡―韓国・釜山を結ぶ高速フェリーで三時間、とても身近な外国である。九州各地の観光地は、いま、韓国からのお客が減って難儀をしていることだろう。

 旭川空港で十九日、韓国からの観光客を歓迎するイベントが行われた。韓国人観光客の減少を食い止めようと、管内二十三市町村や旭川商工会議所などでつくる旭川空港利用拡大期成会が主催。国際線到着ロビーに、「旭川空港へようこそ」とハングル語と日本語で書かれた横断幕を掲げて、旭川のお菓子や上川管内の観光施設を紹介するパンフレットを手渡した。

 新千歳空港でも行われた歓迎イベントは全国ニュースになり、ニュースの末尾に「旭川空港でも行われた」と報じられた。すると、旭川空港事務所に「韓国人観光客は誘致する必要がない」「なぜ韓国人を歓迎するのか」など、抗議の電話が二十本近くかかって来た。市のホームページにも七件のメールが届いたという。

 韓国との関係がここまでこじれたきっかけは、「戦前・戦中の朝鮮人徴用工」の裁判。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が反日姿勢を示すことで支持率を急回復させたとも言われる。確かにそういう面もあるだろう。

 だが、私は四年前の二〇一五年八月、安倍晋三首相が発表した戦後七十年の談話の中にある精神が、韓国国民の日本に対する信頼度を毀損させているのではないか、と考えている。

 改めて談話を読み返してみて、その「核」を挙げると。

 ――我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。