「無罪だと だったら誰が責任者」二十日付の朝日川柳、千葉県・柿田久成さんの句だ。

 世界最悪の原発事故を起こし、今もなお五万人以上が故郷を追われ、避難生活を余儀なくされているにもかかわらず、東京地裁は十九日の判決で、検察審査会の議決で強制起訴された東京電力の元幹部三人全員に「無罪」を言い渡した。

 同日付朝日の記事によると、判決は「事故前の法規制は、絶対的な安全確保を前提としていない。三人に刑事責任は問えない」。だから無罪だという。

 思い返してみよう。二〇一一年三月十一日以前、私たちは、「もしかしたら、原発事故が起きるかも知れないけど、まあ、その時は仕方ないだろう」と考えて、原発を受け入れていたのだったか。違う。私たちは、志を同じくする者たちは、「原発は危ういから、やめてくれ」と事あるごとに訴えてきた。そのとき、原発を推進する者たちは何と言った。「日本の技術は高いから、絶対に安全だ」と言い張ったではないか。

 未曾有の大災害を引き起こしてなお、強引に原発再稼働を推し進める国におもねるような判決。ハナから、裁判所に期待してはいなかったが、それにしても被災者に冷や水を浴びせるごとき判決である。分かっているけど、「三権分立」という言葉は、完全に死語に成り下がった。枕はここまで。

 雨のスタルヒン球場で日本ハムを応援したという友人が、酒の席で「オレが市長ならさぁ」と大声を上げる。また酔っ払いの戯言だと聞き流そうとしたのだけれど、「市役所なんかさぁ」という言葉が出て、少し真面目に聞くことにした。以下、彼の主張の概要を。

 ――あんたの新聞読んでると、新しい市役所を建てるのに百五十億円もかけるんだって? まぁ百二十億でも、百三十億でも、大した変わりはないけどさ。市役所の建物って、経済効果を生むか? 建てている最中と、その前後は建設関連の業界にお金が流れる。それは分かる。でも、完成してしまえば、それで終わり。あとは、そこで働く市職員に快適な労働環境をもたらす。それで終わり。

 オレが市長なら、市役所を建て替える前に、スタルヒン球場を大改築するな。いまのスタルヒンの収容人数は、確か二万五千人だったよな。札幌ドームは四万人。北広島に出来る新球場は三万五千人だろう? スタルヒンの人数じゃ、勝負にならない。観客席も、選手の控室もトイレも、古くて、狭くて、汚くて…、選手たちだってモチベーションが上がらない。旭川で試合をしたい、って思わないよ。当然だな。

(工藤 稔)

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