今月一日から消費税が一〇%になった。その少し前、我が家から徒歩十分ほどのコープさっぽろ西店が閉店になった。家人が言う。「消費税が上がって、うちの家計防衛策は、買物をしないことね。コープも閉店したことだし、自然に買物は減るわ」。確かに、このところ買物に行く回数は明らかに減っている。家人は続ける。「それにしても、私たちが四苦八苦して払っている税金が、何に、どれくらい使われているか、はっきり知りたい。黙っている貧乏人から取れるだけ取って、本当に国民のために使われているのかしら」と。


 会社で赤旗日曜版を購読している。政党の広報紙だから、いささか鼻につく記事もあるが、時折、他紙には期待できないスクープも載る。十三日号のトップ記事、「首相主催 桜を見る会 安倍後援会御一行様 ご招待」もその一つ。「税金でおもてなし」「地元山口から数百人規模」の見出しが躍る。そのリードを。

 ――各界の功労者などを招待するとして、多額の税金を使って開かれている安倍晋三首相主催の「桜を見る会」。本来の目的に反し、首相の地元後援会関係者が数百人規模で大量に招待されていたことが編集部の取材でわかりました。参加窓口は首相の地元事務所。後援会旅行の“目玉”に位置付けられていました。行政がゆがめられ、特別の便宜が図られた、首相の国政私物化疑惑を追います。

 記事によると、桜を見る会は内閣府の恒例行事。第二次安倍政権発足後の二〇一三年以降は毎年、東京・新宿御苑で開かれている。一万人前後だった参加者は増え続け、今年は一万八千二百人に。当然、その経費は全て私たちの税金から支出される。

 「桜を見る会には毎年参加している。地元の後援会員が数百人規模で上京し、みんなで首相と記念写真を撮っている。安倍事務所の恒例行事だよ」

 「下関の安倍事務所から参加確認があり、希望すれば、内閣府から招待状が送られてくる」

 「安倍事務所が飛行機やホテル、貸切バスを手配し、旅費は自分持ちだ。都内観光や前夜祭などの後援会旅行の目玉行事が、桜を見る会だ」

 いずれも、安倍首相の地元山口県下関市の後援会関係者の話である。前夜祭は、桜を見る会の前日に開かれる後援会の行事。一三年は百人ほどだったが、今年の前夜祭はホテルニューオータニで開かれ、約千人が参加したという。

 十六日付朝日新聞は、立憲民主党の初鹿明博衆院議員の質問主意書について報じている。税金を使った桜を見る会の開催を問題視して、「取りやめも含めて検討すべきだ」とする質問主意書に対して、政府は「内閣の公的行事であり、意義あるものと考えている」との答弁書を閣議決定したとある。記事には、過去五年間約千七百六十六万円だった予算額が、来年度当初予算の概算要求で三倍以上の約五千七百万円になっている理由を尋ねたのに対して、テロ対策の強化や混雑緩和などの改善点を反映させて「実態に合わせた経費を計上した」と回答したとある。指摘を受けて見直すのではなく、逆に予算を増額させた。恐ろしい開き直りである。

(工藤 稔)

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