こんな喜ばしい大ニュースを、どうして、外に向けて積極的に発信しないのだろう。西川将人市長は、内心は嬉しくないのかも知れない、もしかすると迷惑なのかも知れない、と疑いたくなる。


 旭川市が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の「創造都市ネットワーク」のデザイン分野で認定を受けたのは十月三十一日である。その日午後五時四十一分、市経済部産業振興課の担当者から、弊社に「報道依頼」のメールが届いている。「ユネスコ創造都市ネットワーク申請にかかる加盟認定について」とある。ところが、記者たちはメールを見逃した。普通、同じ内容のペーパーも配付されるのだが、記者たちは「今回はなかったと思う」と言う。翌日、北海道新聞の記事を読んで「あらら」となった。

 地方面に載った道新の記事も、不思議なスタイルだった。書き出しは「旭川市が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の『創造都市ネットワーク』のデザイン分野に認定されたことを受け、市や、取り組みを支援して来た市民団体から喜びの声が上がった」とある。この書き方なら、全道面に「一報」があるんだろうと、新聞をめくり返したが、どこにもない。なんたって道内の市が世界規模の組織・ユネスコの認定を受けたというニュース、全道に知らせてよい価値があると思うのだが、どうなのだろう。その後、知る限り、朝日、毎日、読売も報じていない、と思う。

 西川市長にとって「迷惑なのかも知れない」と、私が穿った見方をするのには理由がある。六月十八日号の小欄で、ユネスコ「創造都市ネット・デザイン分野」への加盟が認定されたならば、市が解体を決めている現赤レンガ市庁舎を耐震改修し、内部を斬新にリニューアルして、新庁舎とつながるよう改修し「シビックセンター」として活用すべきだと提案した。その一節をおさらいすると。

 ――加盟都市に加われば、世界七十二カ国の百八十都市との交流の機会が生まれると期待される。そして、「どれほどデザインの感性にあふれた都市(まち)なのかしら?」と、すぐれた感覚の持ち主たちが視察や観光に来てくれるかも知れない。いや、きっとそうなる。なんて言っても、国連が数多ある世界中の都市の中から抜きん出て「創造的な、デザイン都市」と認めるまちなのだから。

 ――現在基本設計の策定が進められている新庁舎は、市民や市議会のありとあらゆる意見や要求、提案を受け入れた結果、当然の成り行きなのだが、何の変哲もない、日本中どこにでもある、まことに平凡な事務所ビルに落ち着くようだ。この普通の建物が、ユネスコが「創造都市」と認める都市の庁舎として、ふさわしいか?

(工藤 稔)

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