【訂正】です。前号の小欄「ユネスコ『創造都市ネットワーク・デザイン分野』の認定を受けた『まち』として――」で、北海道新聞の報じ方が「不思議なスタイルだった」と書きました。「この書き方なら、全道面に『一報』があるんだろうと、新聞をめくり返したが、どこにもない。なんたって道内の市が世界規模の組織・ユネスコの認定を受けたというニュース、全道に知らせてよい価値があると思うのだが、どうなのだろう」と。間違いでした。同紙の関係者から、「第四社会面に、ベタ記事ですが、載っています。道新の名誉のために、大げさでなくて良いですから、訂正をしていただければ」と電話をいただきました。お恥ずかしい限りです。訂正して、深くお詫びします。

 蛇足だと知りつつ。この訂正とお詫びが、前号の小欄全体に及ぶものではありません。つまり、年表上たかだか百三十年の歴史しか有しないまちにあって、建設から六十一年を経た歴史的な建物、しかも旭川にゆかりの、日本の建築史にその名を残す建築家・佐藤武夫が設計した名建築を「耐震強度が足りない」という理由だけで、さほどの議論もなく、正確な再調査も行わず、耐震改修・リニューアルの見積もりも一切せず、「解体ありき」の結論に固執するのが、ユネスコの「創造都市ネットワーク・デザイン分野」の認定を受けた都市としてふさわしいのか。竣工した当時、わが国で最も権威がある建築賞、日本建築学会賞を受賞し、最近では北海道で唯一、公共建築として「ドコモモ・ジャパン一〇〇選」にも選ばれて、文化的価値を認められた建物をみすみす解体する判断が、“ユネスコ的”な見地から正当なものなのか、ということだ。

 繰り返し言う。大雪地ビール館やデザインギャラリーとして活きている上川倉庫群、市民活動交流センターとして蘇った国鉄旭川工場、高々とそびえる合同酒精の蒸留塔…、それら歴史的な建物から、たくさんの小中学校の校舎や公共施設、ホテルOMO7、JR旭川駅前広場へと脈々と続く“赤レンガのDNA”、旭川独自の建築史は、現市庁舎を抜きに語ることはできない。ユネスコ・デザイン都市に認定された旭川が誇る「物語」の、まさに核ではないか。モノやコトの成否は、本物の物語の有無、あるいは時間の蓄積が全てを決める。都市にとっても同じだ。それは議論の余地がない価値観であろう。海外から訪れる“ユネスコ・デザイン都市ウオッチャー”たちを「赤レンガのDNAを巡る物語ツアー」に案内する。その光景を想像できませんか、西川市長――。

 久しぶりに「へなまずるい」という北海道弁を思い出した。「なまずるい」は、「ずるがしこい」という意味の形容詞。「へ」は強調する接頭語だから、「大いにずるがしこい」の意味になる。

 十五日、首相官邸のエントランスホールで、安倍晋三首相が記者の取材に応じたと各紙が報じた。会見ではなく、いわゆる「ぶら下がり」と呼ばれる、立ったままの、落ち着かない取材である。毎日新聞の記事は。

 ――首相に対するぶら下がり取材は近年は1、2問程度で終わるのが通例で、内閣改造などで開かれる記者会見ですら3、4問程度で終了する。しかしこの日は2回取材に応じた上、2回目は30問超の質疑となった。首相から「この点に関して質問はありますか」などと促す場面もあり、2回の取材対応で問題に終止符を打つ、という思惑もにじんだ。

 北海道新聞は「異例の20分記者対応」「幕引きへ説明責任アピール」の見出し。
 ――(前略)報道陣から「改めて会見を開く意向があるか」と問われても「今、質問してください」とかわした。

 立憲民主党の安住淳国対委員長は、エントランスに比較的若手の記者が多いことを念頭に「(疑惑を)調べている記者や(野党)議員の質疑に応じない。一方的に主張を言っただけでひきょうだ」と非難した。(引用終わり)

(工藤 稔)

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