明けましておめでとうございます。今年も、ご愛読のほどをよろしくお願いします。

 冬の始まりは雪が少なくて、楽をさせてもらいました。ところが、元旦、二日の朝とも十五㌢ほどの積雪で、一日置いて四日の仕事始めの日も、除雪に出動しました。大晦日から食っちゃ寝の身にはいい運動でしたが、いかんせん腰が…。

 十二月二十二日の冬至が過ぎると、もう日照時間が長くなった気がしたり、年が明けると何となく「春は近いぞ」と思えたりしません? 歳を取るにしたがって、雪の季節が苦手になりました。これで除雪という仕事がなければ、戸外に出て雪に触れる機会はほとんどなくなってしまいます。雪を愛でながら暮らせる幸せを肝に銘じつつ、春を待ちます。

 あれ? おかしいぞ、と思ったんだ。突然、建設予定地にオオタカの巣が確認されているから、環境に配慮して“夢のIR(カジノを含むリゾート施設)”誘致を断念するなんて、それほど環境保護に熱心な御仁だったかあ? 全然知らなかったぜーと。

 十二月三十日付の北海道新聞「クローズアップ 鈴木道政 決断の断面 番外編」に、そのIR誘致に向けてまっしぐらだった岩倉博文・苫小牧市長の困惑のコメントが載っている。以下、抜粋引用。

 ――10月以降、苫小牧市議会が働きかけを受けてIR誘致の決議を行ったり、道内経済界が要望をしたりしました。判断の外堀を次々と埋めていくやり方を見て、最終的には知事が誘致表明すると思っていました。

 環境配慮といった見送り理由は突然わいて出たもので、道はなぜもっと早く市に伝えなかったのか。見送りの環境整備として、道職員が持ち出した話とも思えます。判断の真意は分かっていません。知事に確かめる必要があります。(後略・引用終わり)

 この岩倉市長への取材がいつ行われたのか、記事を読む限りでは不明である。だが、IRへの参入を目指していた中国企業から現金三百万円などの賄賂を受け取っていたとして、東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕された秋元司衆議院議員の“きな臭い”情報が漏れ伝わり始める前だったろうと推測する。市長は今となっては、手を挙げなくて良かった、あの時点で誘致を表明していたら、IR汚職事件の渦中に飲み込まれていた、と胸をなでおろしているかも知れない。

 鈴木直道知事は菅義偉官房長官の“直系”と目される。法政大学の先輩後輩で、電話で頻繁にやりとりする間柄だともいう。官房長官から極秘の検察情報が届き、それまで着実に「外堀を埋める」動きを見せていた知事があわてて慎重姿勢に転じ、そして十一月二十九日、突如として誘致見送りを表明する。不可思議な流れの説明がつくではないか。

 元日付の朝日新聞は、一面トップで「国会議員5人に現金」「IR汚職 中国企業側が供述」「検察、符合するメモ押収」の見出しのスクープ記事を掲載した。秋元衆議に現金を渡したとされる中国企業側の容疑者が、自民党四人、維新の会一人の国会議員の名前を挙げて、「現金を配った」と供述。特捜部は供述と符合するメモも押収しているという内容だ。

 三日付読売新聞が追った。一面トップで「衆院5議員側に500万円」の見出しで、さらに社会面で「IR議連幹部側に工作」の見出しでIR汚職を大きく報じた。押収されたメモによると、秋元容疑者に三百万円のほか、いずれも衆議の中村裕之(58、自民・北海道四区)、岩屋毅(62、同・大分三区)、船橋利実(59、同・比例北海道)、下地幹郎(58、維新・比例九州)、宮崎政久(54、自民・同)の五氏に百万円ずつを提供したという。中国企業は、北海道や沖縄でIR参入を目指しており、現金は衆院が解散された二〇一七年九月二十八日から十月中旬にかけて、いずれも「陣中見舞い」の名目で配られたとされる。

 口あんぐり。さもありなん。ギャンブル、博打(ばくち)を「経済対策の柱」だとする騙し、詐術、たくらみの結果が、この贈収賄事件を招いた。堅気の商売とは異質の世界のギャンブルに触ろうとした、当然の帰結だ。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。