「コロナ」禍が収まる気配がない。影響をまともに受けている飲食店の経営者は、「いつまで我慢すればよいのか分からない。それが困るというか、辛いというか…。こんな気持ちになるのは、初めてだ」とため息をつく。お会いした居酒屋のオーナーの中には、気持ちの整理がつかなくて、笑ってしまう方もいた。「どうしたらいいのか、誰か教えてくれよ、ハハハ」と。「だ、だ、だいじょうぶですか…」と額に手を当てたくなる。真面目な話である。

 連休が終わる七日には、様々な施設や店舗に出されている「休業要請」が解除されるかもしれないと期待する向きもあった。だが、大方の予測通り、「緊急事態」は少なくても今月末まで延長されそうだ。

 三・六街で複数の飲食店を展開する五十歳代の男性経営者に話を聞いた。パートやアルバイトを含めて四十人の従業員がいて、そのうち社会保険に加入している社員は十一人。福利厚生費を含めて人件費が月に約五百万円。店舗の家賃が約八十万円。ざっくり六百万円の固定費がかかる。二月末から、ランチのほかテイクアウトにも注力したが、夜の売上げは激減し、現在開店しているのは二店舗だけ。夜の売上げは限りなくゼロに近いと言う。

 雇用調整助成金を活用しようと考えているが、手続きの煩雑さに加えて、窓口のハローワークの職員でさえ、制度のことをよく理解していない。どう見ても早くて六月中に支給されるかどうか、だそうだ。従業員とその家族の生活を考慮すると、簡単に店を閉める、退社してもらう、という選択肢はない。この真面目さ、律義さで、事業を大きくして来た。

 「平時は、お客がついていて、普通にやれば利益が出る店だから、やりたい人を探して譲る手もある。でも、今のこの状況では手を出す人はいない。店を閉めようと思っても、契約上すぐに閉められるわけではない。閉めるにしても、金がかかる。八方ふさがりですよ。国会で家賃補助の話が出ているようだけど、家賃と人件費の見通しがつけば、もう少し、頑張れると思う。毎月、数百万単位でお金が出て行く。国も、道も、市も、もっとスピード感を持ってほしいと思う」

 お会いする方の多くが、「あの工事、何事もなかったかのように進められるのかい? 市長とお役人には、コロナの影響はないからなあ」と口にする。新市庁舎の建設のことである。関係者によると、四月中旬、ごく内輪の工事関係者だけで起工式を執り行ったらしい。建設現場は仮囲いがなされ、現場事務所を建てるために、地下駐車場の上の土が取り払われている。

 建築の業界で仕事をしている方からメールをいただいた。タイトルは、「アフターコロナの世界では新庁舎は無用の長物になる」。以下。

(工藤 稔)

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