中国から「北京あれこれ―現地の旭川人が伝える中国の“いま”」(毎月第二週掲載・今号十五㌻)を寄稿してくれている楠本路子さんからマスクが届いた。五十枚入り六箱。お礼のメールの返信に、「そちらで関税がかからないギリギリの数にしました。医療用ではないので、予備としてお使いいただければ。布マスクよりは効果はあると思います」とあった。

 お礼の電話を差し上げ、少し話を聞いた。以下、その要旨。

 ――日本ではいまだに入手が困難だと聞くマスクが、中国では流通し始めている。街の薬局でも三枚、五枚単位で売っているが、ネットでは五十枚入りの箱単位で購入できる。ただ、車のメーカーまでもがマスク製造に乗り出すような情況だったから、品質に大きな差がある。送ったのは、知人の会社が製造したマスク。医療用のサージカルマスクを海外に送るのは禁止されているらしく、手続きも難しいので一般用にした。喜んでいただけてうれしい。醤油ラーメンのスープが恋しいです。

 業界人から直接聞いた情報では、日本で一般に流通するマスクの大半は中国製だという。楠本さんの話を考えれば、現在は入手困難なマスクが間もなく大量に輸入されるか、習近平国家主席からのプレゼントという形で相当数が届けられるか、いずれにしろ品不足は間もなく解消される可能性が高いのではないか。普通に考えれば、そうなる。

 安倍首相の肝いりで、全国五千万世帯に二枚ずつ配付するマスクについて、一日に開かれた臨時市議会で、江川彩(民主連合)が質問した。国から優先するとして市に届いている「妊婦用」の布マスクに関する費用が補正予算に計上されている。子育て支援部の担当者の答弁は。

 ――妊婦一人につき月二枚ずつ、出産まで配付することになっているが、現在、国から本市に送付されたマスクの数量は必要量に満たなく、全妊婦に配付することが出来ないため、これから母子健康手帳を交付する方、および出産予定が近い方から優先的に一人一枚ずつ順次配付する予定としております。

 江川の質問で、妊婦用だけでなく、「アベノマスク」の配付に要する郵送費や人件費(職員の残業代)、封筒や手紙の印刷費の半分は、旭川市が負担する実態が明らかになった。なんだそれ…。

 子育て支援部母子保健課に取材すると、さらにアベノマスクの「実害」が露見する。経過をたどる。

(工藤 稔)

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