できる範囲で顔見知りの店で飲食したり、持ち帰りの料理を買うよう努めている。十六日以前は、お酒は午後七時までに注文しなければいけなかったから、いささか忙しい思いをしたりした。

 中には、「七時以降は酒を出さないで、十万や二十万の目腐れ金をもらうより、コロナが治まった後を考えたら、いつものように営業して、お客に食べて飲んでもらった方がいいと思ってさ」と、休業要請に応じない飲食店オーナーもいた。夫婦二人、常連客を相手の商売だから可能だと言ってしまえばそうなのだけれど、それはそれで立派な姿勢だと思う。

 あるスナックの経営者は、過去に病気で長く休んだ経験から、「三カ月くらいは売上げがゼロでも大丈夫なように、備えているから」とこちらも、休業要請支援金はあてにせず、七時以降もお酒を出した。「お客さんが少ないから、十時ごろには閉めるんだけどね」と笑いながら、「休業要請が解除になっても、しばらくは静かだと思う」と見通す。

  「コロナの収束」とは、どんな状況を指すのか。マスクをせずに出歩ける日は来るのか、来ないのか。海外からの観光客が再びやって来るのは、いつ頃なのか。そもそも収束なんてあるのか…。そして、来年の東京オリンピックに世界中からわんさか人が押し寄せて、新国立競技場が大歓声に包まれるなんて光景はあり得るのだろうか。お会いする方たちに尋ねてみても、皆さん、頭を傾げるばかりだ。

 もしかすると、「コロナと共生する」状態が、いわゆる「収束」なのかもしれない。仕事も、暮らしも、生活習慣も、いってしまえば社会の価値観そのものが、大きく変化、変質するのではないか。そっくりコロナ前に戻ることはないだろう。漠然と、そんなことを思いながら、その時、あさひかわ新聞は、どうなるのだろう。貧弱な想像力は、すぐ目の前にあるであろう近未来の、自らの職場の像を思い描くことすら出来ない。怖い。枕はここまで。

 まさに“火事場泥棒”である。検察幹部を退く年齢に達しても時の政府の判断でポストにとどまれる特例を新設する検察庁法改正を巡る政府と与党の無茶苦茶なやり方に、さすがの従順な国民から怒りの声が上がっている。

 経緯の詳細は、省く。ただ、ことの始まりは、間違いなく安倍首相個人の疑惑だ。「コロナ」ですっかり影が薄くなったが、あの「桜を見る会」が国会で追及され、公職選挙法や政治資金規正法違反の疑いで東京地検に告発状が提出された背景があってのことである。安倍首相に近い黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定し、法改正によって検事総長に据えるのが目的。黒川氏は法務省の官房長時代、小渕優子・元経産大臣、甘利明・元経済再生担当大臣の事件を潰した“実績”があるとされる。二つの事件とも明白な証拠がそろっていたのに、なぜか立件は見送られている。

 コロナ禍に隠れていたこの法改正は、強行採決が近くなったタイミングで、ツイッターで「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が数百万件という脅威的な広がりを見せたことで一気に国民注目の的となった。

(工藤 稔)

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