道外の複数の友人から電話とメールをいただいた。いずれも、「あなたが暮らしている旭川というまちは、大丈夫なのか?」との趣旨である。医療機関や福祉施設などで発生した新型コロナのクラスター(集団感染)と、国内最北の医科大学の騒動を結び付けて、「あのような、まことに非常識な、とんでもない医者が十四年も学長でいる医科大学があるまちだから、日本最大のクラスターが起きるのだろう」と推察しているらしいのだ。


 電話をくれた一人は、「旭川医大を目指す若者が減るのではないか? 息子や娘が受験すると言ったら、ほとんどの親は『やめておけ』と言うだろう。まあ、レベルが下がると見込んで受験する者が増える可能性もあるけどさ。いずれにしろ、入学者のレベルが上がることはないな」と、おせっかいな予言を開陳してみせた。

 そんな心配を少しでも払拭したい、という意図なのか、北海道新聞で不思議な記事を読んだ。二日付夕刊二面の「マイたうん旭川」の欄。「2021 道北ニュース虫めがね」のタイトルの下に、「旭川医大の遠隔医療」、「最初は『へき地』支援策 国内リード」の大見出し。Q&Aのスタイルだ。

 Q 旭川医科大の遠隔医療は全国に先駆けて始められたって聞いたけど。

 A 主導したのは医大病院長の解任などで世間をにぎわせている吉田晃敏学長だ。旭川医大卒業後、米ハーバード大に留学して先端技術に触れ、1992年に眼科教授に就いた後、遠隔医療の研究を本格化させた。

 以後、Q&Aは、いかに吉田学長が先進的な医療に取り組み、旭川医大に貢献したか、国内だけでなく、国際貢献もしている素晴らしい研究者であるのだよ、と絶賛する記事に署名はない。

 道新と旭川医大、あるいは吉田学長の間に、私たち市民には分からない諸事情があるのか、ないのか。いずれにしろ、この時期に、どうして? という記事であった。

 旭川医大出身の医師や関係者に話を聞くと、誰もが「あの人は、自ら学長を退くなんて、絶対に言わない。一二〇%、辞任はしない」と断言する。こんな話も聞いた。「吉田が眼科を選んだのは、当時、眼科の教授は年配で、一番早く教授の椅子が空く可能性が高かったからだ。今もそうだけど、上昇志向と名誉欲、お金に対する執着心は天下一品だから」。

 もう一人、八年ほど前に七十歳代の経営者から聞いた話だ。「母親が○○病院に入院して、その病院の理事長の紹介で吉田学長に白内障の手術をしてもらった。名医と聞いていたから。手術後、病院に支払う医療費とは別に、片目三十万円、両目で六十万円を払った。領収書はなし。いい商売だと思ったよ」。

(工藤 稔)

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