今号二面にあるように、西川市長が一日の会見で、今月中旬に届く千人分の新型コロナワクチンを特別養護老人ホームの入所者に接種すると述べた。たった千人分なの? 以後の予定はどうなの? 医療従事者への接種はいつ終わるの? 出たとこ勝負、泥縄式のワクチン接種は遅々として進まない。

 報道によると、米国や中国、欧州諸国の接種率に比べて、日本のそれは格段に低い。日経のデータ(四月二日現在)によると、国民百人あたりの接種完了者数は、イスラエルが一番で五二・八六人。以下、UAE(アラブ首長国連邦)二二・三九、チリ一九・三四、米国一六・六〇と続き、…インドネシア一・三五、メキシコ〇・七四、日本は〇・一二人。悲しくなるほど圧倒的に少ない。

 WHO(世界保健機関)の見方では、多くの人が免疫を獲得することで感染が広がりにくくなる、いわゆる「集団免疫」の状態になるには、世界の人口の七〇%を超える人がワクチンを接種する必要があるらしい。ワクチン接種ひとつを取っても、今夏、東京五輪・パラリンピックを開催するんだと、菅義偉首相や小池百合子都知事や橋本聖子・組織委員会会長が本気で考えているとは、とても思えない。

 世界は置くとして、開催国・日本の国民の何割が、七月二十三日の東京五輪の開会式までにワクチン接種を終えるのだろう。「日本すごい」「日本が一番」「世界の真ん中で輝く日本」みたいな、極右・安倍晋三的自画自賛ムードが広がりつつある一方で、どうしてこんなお寒い状況になっているのか。何より、なぜ日本製のワクチンがないんだろう…。

 その答えの一つが三月三十日付毎日新聞「オピニオン面・そこが聞きたい」にあった。「ワクチンの実用化に向けた臨床試験(治験)を進める塩野義製薬(大阪市)の木山竜一・医薬研究本部長(58)に聞いた」というインタビュー記事。

 日本でも接種が始まった海外製のワクチンは、新型コロナの遺伝子の一部を投与し、体内で抗原を作らせる仕組みで、これまで実用化されたことがなかった。一年前は、自分たちが現在取り組んでいる遺伝子組み換えたんぱくワクチンが最先端技術で、実績もあったとした上で、木山氏は「一年でこんなに世界が変わるとは思わなかった」と語る。以下、記事を引用しよう。

(工藤 稔)

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