小紙三月十六日号一面の見出しは、「産廃最終処分場 次期計画なし」

「旭川市のずさんな“ごみ行政”露呈」だった。以下、リードを引用しよう。(文中敬称略)

 ――十二日に開かれた予算等審査特別委員会分科会の小松晃(共産党)の質疑で、産業廃棄物最終処分場(市内江丹別町共和)について、埋め立て期間の短縮、次期計画が未定、などの課題が明らかになった。新たな処分場の整備には一定の時間を要するため、産廃処理に空白ができる可能性がある。ずさんな市の“ごみ行政”が露呈した。(引用終わり)

 状況を簡単に説明すると、産廃の処理は一九九四年から、第三セクターの旭川振興公社(髙瀬善朗社長)が担っている。市は用地を貸与し、投資が大きいことから金融機関への債務保証などを行う。

 当初計画は三期で、その第三期管理型処分場の共用が二〇一九年十月から始まった。埋め立て期間は二八年度までの予定だったが、受け入れ量が当初計画よりも増えたため、埋め立て終了の時期が二年以上早まる可能性があるという。

 また、現時点で四期目からの計画はない状態で、新たに処分場の用地を探す段階から始めなければならない。仮に用地が見つかり、周辺を含めて地域住民の合意が得られたとしても、環境アセスなどの手続きが必要だ。そう簡単に進展する話ではない。最低でも五年はかかるだろうと小松は予測する。

 同月三十日号の小紙『議会見たまま』は、小松が二十二日の総括質疑で再び産廃処分場について質疑したやり取りを報じている。

 小松 現処分場は、現在の三期目をもって二六年度中に終了と見込まれている。産廃をどこに運ぶか、計画もなければ行政としての方針も現時点では持ち合わせていないことが明らかになった。こうした事態について、市長はいつ報告を受けたのか。

 西川市長 昨年十月末に振興公社から環境部に提出された報告書には、埋め立て終了が二八年八月とされている。今年に入り、計画より最大で二年早まる見通しに変わり、課題について環境部と公社で協議を重ねているが、私が報告を受けたのは今月に入ってから。現在、公社の第三期以降の方向性が見通せない状況であり、安定した産廃の受け入れ体制の確保に懸念があると考えている。担当の環境部に早急に対応するよう指示した。(引用終わり)

 関係者に話を聞くと、市環境部と処分場を運営する旭川振興公社の考え方の違いがそもそもの原因だったようなのだ。次の産廃処分場の手当について、環境部は「振興公社が主体的に行うだろう」と勝手に考えていた。一方の振興公社は、「ノウハウも機材もあるから、事業はうちが手がけられる。だが、用地買収や地元対策などは市の仕事。うちにはそんな人員も、経験もありませんから」。思うに、トップの“先送り体質”が、市役所組織の現場にまで及んでいる。

 計画当初、市長が華々しく掲げた「シビックセンター」とは大きく異なり、ありふれたビジネスビルに成り下がった市役所新庁舎が二三年夏に完成する。その後、今も市民の間に保存・活用を求める声が根強くある赤レンガ庁舎や、第三庁舎(旧上川支庁)の解体が始まる。また、この期に及んでも存廃が決まっていない、誰も触れたくない「地下駐車場」だって、「あのままにするんじゃないですか…」と、なぜか関係者はヒソヒソ声になるが、老朽化を考えれば、解体することになるのだろう。いずれの建物、施設も、産業廃棄物として処分場に運ばれる。これらの廃棄物が、現処分場の埋め立て時期を早めることにならないか。

(工藤 稔)

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