四月三十日付毎日新聞の一面肩の記事は「大阪死者 最多44人」。都道府県別でこれまで最多だった東京都の三十二人(二月三日)を大幅に上回った、と報じた。そして第二社会面には、「橋本氏『無観客も覚悟』」「東京五輪 入場制限6月判断」の見出し。引用しよう。

 ――東京オリンピック・パラリンピックの国内観客の入場制限について、政府、大会組織委員会、東京都は28日、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との5者協議で、6月に結論を先送りすることで合意した。組織委員会の橋本聖子会長は記者会見で「ギリギリの判断として無観客という覚悟を持っている。現段階でフルスタジアム(満席)は非常に厳しいことは理解している」と述べた。(後略・引用終わり)

 同日付朝日の社説の見出しは、「五輪とコロナ 冷静な目で現実見る時」。要約すると――。

 ▽出国前九十六時間以内に二回、入国後は毎日、感染の有無を検査する▽移動は専用車を使い、行き来は競技場、練習場、宿泊施設のみとする▽違反したら出場させない、など出場選手やコーチ向けの行動規範の改訂版が公表された。問題は、これにどう実効性を持たせるかだ。

 国内観戦客の入場制限をどうするかの判断を六月に先送りするというが、理解に苦しむ。観客の有無や規模が不明のままで、医療看護体制をどうやって構築・準備するつもりなのか。

 など、開催を主張する菅政権や東京都、組織委員会がいかに非論理的で、ちゃらんぽらんで、むちゃくちゃかを並べ立てて、最後は、「『開催は決まっている。問題はどう開催するかだ』。そんな言い分はもはや通らない。冷静な目で現実に向き合う時だ」だって。腰砕け。なぜ、強く、「中止せよ」と提言できない? オフィシャルスポンサーだから?

 三度目の緊急事態宣言が出され、「県境をまたぐ移動は自粛を」と求めながら、聖火リレーは県境をまたぐどころか、全国津々浦々を駆け巡る。「週刊文春」が報じるところによれば、四十七都道府県が負担する聖火リレーの予算総額は少なくても約百十六億円だそうな。日本のワクチン接種率は一・三二%で、OECD(経済協力開発機構)加盟三十七カ国中、ダントツのワーストだという。

(工藤 稔)

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