前週の約束通り、「赤レンガ庁舎」について。前号の最後の段落に、今津寛介市長は赤レンガ庁舎について、前回二〇一八年の市長選の公約の一番目に「現庁舎は、国の補助活用による耐震化などの活用策も検討」と掲げ、一貫して「赤レンガ庁舎は解体せずに、活用を検討する」と約束してきた、と書いた。

 今回の市長選の前、本紙が行ったアンケートの質問、「新庁舎の完成後、現赤レンガ庁舎は解体すべきか」に、今津市長は「解体せず再活用する」と答えた。その理由は「耐震不足が解体の理由の一つだが、何らかの形で残す方法を模索しシンボルにする」。

 選挙に勝利し、九月二十八日に初登庁した今津市長は、記者会見で、朝日新聞記者の「赤レンガ庁舎とアンケート」についての質問に、次のように答えている。

 ――正直言って私自身、アンケートについて把握していない部分があった。旭川のシンボルとして長年市民に親しまれてきた旧庁舎ですから、活用できるものなら活用したいという思いはあります。ただ議会でも解体することは了承しているとのことです。何らかの方法、例えば文化的な建物として残す方法が可能かどうか、模索していきたいというのが私の立場です。

 続けて、本紙記者が「『把握していない』というのは『アンケートを見ていなかった』ということか」と質問すると、市長は「最終的な確認を私がしなかったのです」と答えた。

 今号三㌻「議会みたまま」にあるように、今津市長は金谷議員(無党派G)の質問に対して、「残して欲しいという市民の声も直接聞いていて、私自身、デザイン都市として何か利活用できる手法がないかをギリギリまで模索していきたいと考えている」と答えた。

 大矢二郎・日本建築家協会(JIA)北海道支部旭川会会長が会員五人とともに先月末、今津新市長と懇談した。大矢会長は、「赤レンガ市庁舎を活かしたシビックセンターを考える会」の代表でもある。新庁舎建設の計画段階から、新築する庁舎は最低限の規模に抑えて、「赤レンガ庁舎」を改修して活用しようと提案し、地道な活動を続けてきた。

 会の名称にある「シビックセンター」は、前市長が掲げた新庁舎のキャッチフレーズだ。市民文化会館の建て替えと一体的に推進する構想だった。それがいつしか庁舎単体の建設になり、計画が変更に次ぐ変更を重ねる中で、いつの間にか「シビックセンター」という言葉は使われなくなった。つまり、建築中の新庁舎は、「設計変更」などという生易しいものではなく、当初の構想と全く別物になった。

(工藤 稔)

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