朝、出勤してから時々、会社の前の道路や駐車場のゴミを拾う。今朝もそうだったが、このところ捨てられているマスクが目につく。今朝は歩道に二枚。誰が、どんな場面でマスクを捨てるのだろう。それとも誤ってポケットやバッグなどから落とすのか。ちょっとイメージできないけど…。

 さて、そのマスク。懐かしいアベノマスクの話である。二日付毎日新聞は、「行き場なき布マスク」「8130万枚 厚労省 保管庫公開」の見出しで、写真付きで報じた。記事によると、新型コロナウイルス対策で政府が調達した「アベノマスク」を含む八千万枚余の布マスクが使われずに保管され続けているという。平均単価は百三十九円。月額の保管料は当初は九千万円だったが、今年三月に保管場所が変わり約千九百万円になった。単純計算で百十三億円分の布マスクが倉庫に眠り、保管料を払い続けている。

 遠い昔の話のような気がするが、たった一年半ほど前のことなのだ。新型コロナの惨禍が私たちの暮らしを直撃し始めた昨年四月、小欄は「『マスクの話』と『アベノマスクの話』と『布マスクの話』――」のタイトルで、「キョンキョン」こと俳優小泉今日子のツイッターの書き込みを話題にした。ちょっと引用しよう。

 ――彼女は社長を務める「株式会社明後日」名義のアカウントでツイッターをしていて、結構、つぶやいている。(二〇二〇年四月)二十二日午後一時、「アベノマスクの不良品を政府、公表せず」というニュースをリツイートして、次のようにつぶやく。

 ――人間だから間違えや失敗は誰にでもあるだろう。一生懸命やった結果だったら人はいつか許してくれるかもしれない。でも汚らしい嘘や狡(ずる)は絶対に許されない。カビだらけのマスクはその汚らしさを具現化したように見えて仕方がない。

 安倍首相の肝いりで、全国五千万世帯に二枚ずつ配付する布マスクに、カビや汚れ、虫や毛の混入が見つかっている。政府は、その事実を発表していなかった。キョンキョンは、この政権の本質がウソやズルだと見抜いている。森友、加計、桜を見る会へと続く数々のグロテスクなスキャンダルと、アベノマスクの不良品の根源は同じだと知っている。(引用終わり)

 話は変わる。確か十一月二十八日、日曜日の午前中だと思うのだが、NHKのBSプレミアム(これも不確か…)で不思議な番組を見た。しかも途中から。インターネットで検索してみると、「ほっかいどうが#1」という、札幌放送局制作の新番組だそうだ。ネットの自己紹介に次のようにある。

 ――新番組「ほっかいどうが」 感動したり、発見したり、モヤモヤしたり。いつものニュースや番組では描けない何かをお伝えしたくて、衝動的に制作します。気まぐれ(?)に不定期の放送です。(北海道のみ)

 ここ数年、私が抱いている「あべさまの・すがさまの、恐らくきしださまのNHK」のイメージとは相容れない、とても自由な感じ。これぞ「みなさまの、公共放送らしい、政権の広報機関ではないNHK」の番組ではないか。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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