画像 開拓時代から神居地区の発展を見守ってきた神居神社(神居町神岡)で、例大祭の九月一日、社殿内にある神輿が初めて担がれる。神輿は〇三年(平成十五年)に上川神社から移されたものだが、これまで例大祭で担がれたことはなかった。当日は神居、忠和など旧神居村地域の市民を中心にしたメンバーが担ぐ予定で、“ムラの鎮守”として親しまれてきた神社に新たな歴史が刻まれる。

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 例大祭ではこれまで、地区の市民委員会が中心になり、パレードと子ども盆踊りや民謡踊りなどの奉納行事を行ってきたが、人数などの問題もあり、神輿の出番はなかった。神社の高倉清隆・氏子総代長(75)ら関係者の「神輿を担ぎたい、担いでもらいたい」という長年の願いを実現させようと、地域の商店主らで組織する神居商工振興会(久保田幸一会長)のメンバーが立ち上がった。

 久保田会長(59)らは神輿担ぎにあたり「なるべく地元の人たちの手で」という思いを持っていた。全市、全道規模では神輿を担ぐ団体は数多くあり、人数の確保はさほど難しくないが、美瑛川以南の旧神居村の地域にこだわったため、担ぎ手を探すのに苦労した。しかし地元の有力者が自ら手を上げるなど、必要な八十人を確保するメドが立ち、例大祭まで一カ月に迫った時点で、初の神輿担ぎ実現が決まった。

 通常、神輿担ぎの準備は数カ月前から始めるが、初めての開催、しかも一カ月での準備だったため、メンバーの苦労は大変だった。「地元の人たちのために役に立ちたい」(久保田さん)との思いが、道路使用許可など、諸手続きをクリアさせた。高倉さんは「神輿担ぎで地域も一つになれます。我々の夢を実現してもらえてうれしいです」と喜ぶ。

 神輿は一日正午に神社を出発。忠和地区で一度置かれて参拝を受けたあと、神居二ノ三の遥拝所に移動。ここから保育園児やブラスバンド、舞踊団体らが参加する、従来のパレード隊の先頭に神輿が入り、午後一時二十分ごろ出発。神居住民センター(神居二ノ十七)まで一キロ余りの道のりを練り歩く予定だ。