画像 夏は丸木舟、冬はそり――市内永山の角張建設社長の角張六郎さん(74)が、ニレの大木をくり抜いて年中楽しめるアウトドアビークル(乗物)を製作。熱源をつなぐとサウナにも使えるという、野性味と遊び心いっぱいの“作品”が話題になっている。

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 角張さんは昨年春、愛別町内に山菜を採りに行った際、旭川紋別自動車道の愛別トンネル付近で、長さ三メートルほどに切られたニレの原木が三本転がっているのを見つけた。大工から始まり、半世紀近く木と向き合ってきた角張さん、これは何かに使えそうと、譲ってほしい旨と自分の連絡先のメモを残して帰ったところ、後日所有者から売ってもいいという連絡が入り、価格交渉の末、晴れて角張さんのものとなった。

 この木を使い、原木の太さをそのまま使った、豪快なフクロウのオブジェや、丸太風呂なども作ったが、圧巻はこの丸木舟。樹齢約三百年、直径一メートルほどある木だが、中心部はかなり朽ちていたため、くり抜く手間は思ったよりかからず、単独作業ながら一週間ほどで完成。はね上げ式のふたがついており、ここを上げて乗り込む仕組み。ふたを上げた状態で漕ぐため、バランスを崩さない配慮もされている。さらにスキー板とブレーキも取り付け、そりとして使えるようにもした。舟なら三人、そりなら四、五人乗れる。

 舟は七月に和寒町の南丘公園貯水池で進水式を行い“デビュー”。性能が確かめられた。そりはまだ冬を迎えていないため、試運転はしていないが、なだらかな傾斜地を使って降雪前に試運転をする計画もある。

 この乗物の最大の特徴は、サウナの機能があること。座る部分に銅管が張り巡らされており、このパイプに外付けの燃焼機関で起こした蒸気を送ることで、管が熱せられる仕組み。ふたがついているのもこのためで、敷物を敷き、横になってふたを閉めるとサウナ風呂を楽しめる。

 これまで作られた丸木舟を含む一連の作品は、永山屯田まつりや大雪アリーナなどでのイベント会場でも展示され、来場者に木の魅力を伝えるのに一役買っている。取材した日は、角張さんがよく利用しているという、「万葉の湯」(高砂台一)の玄関フロアに置かれていた。入館客の中には、巨大な丸木舟に驚いた様子で見入る人もおり、野趣満点の作品は強烈な印象を与えているようだった。

 角張さんは「このようなものを作ることで喜んでもらい、木に興味を持ってもらえればと思います。置いた場所の宣伝になれば、なおいいですね」と完成させて満足感あふれる表情で話していた。