画像 乾千恵さんの画文集「7つのピアソラ」の原画展が三十一日まで、こども冨貴堂(七条買物公園)内のギャラリーKIDSで開かれている。

 乾さんは一九七〇年(昭和四十五年)大阪府生まれ。絵画のほか、書家としての評価が高い。九十年に初の書展を東京・銀座で開催。以来各地の図書館や美術館、学校などを舞台に書展を開いているほか、民話、童話、詩などを語る集いを開いている。

 著書に「『風』といるひと『樹』のそばのひと」(野草社)、「書の絵本 月・人・石」(文・谷川俊太郎、写真・川島敏生、福音館書店)、「もじと絵」(絵・黒田征太郎、アートン)など多数がある。身体が不自由だが、車椅子で全国各地を精力的に巡り、活動を続けている。

 今回展示している「7つのピアソラ」は、乾さんがアストル・ピアソラ(一九二一~九二)の音楽を聞きながら、イメージの湧き出るままに描いた作品群。ピアソラはアルゼンチンの作曲家で、バンドネオン演奏家。タンゴにクラシックやジャズの要素を取り入れ、独自の音楽形態を作り上げた。

 乾さんはコメントの中で「音楽を聞いていると、なぜか色や光景が頭の中にはっきり見えてくることがあります。(中略)ピアソラのタンゴの場合も同様で、曲によっては、音から生まれた画像が『さあ、描け、描け!』と迫ってくるのです」と、創作に至った心情を表現している。

 色鉛筆を三~七回ほど塗り重ねたカラフルな作品のほか、シンプルな線と色使いで仕上げた作品もある。夜をイメージさせる深い紺色、そして光が浮かび上がるかのような鮮やかな黄色の配色が、アストル・ピアソラの情熱的な音楽を思わせる。

 会場では「7つのピアソラ」(千六百八十円、岩波書店)など乾さんの著書のほか、原画のリトグラフ、絵はがきを併せて展示・販売している。午前十時~午後六時。問い合わせはこども冨貴堂(電話25―3169)へ。