画像 道立旭川美術館で来年一月から始まる「アール・ブリュット/交差する魂」(一月十六日~二月十七日)の開催を前に、滋賀県の「ボーダレス・アートミュージアムNO―MA」を運営する滋賀県社会福祉事業団企画事業部の齊藤誠一さん(31)が三日に来旭し、七日まで同展のPR活動にあたった。

 齊藤さんは一九七六年(昭和五十一年)、旭川市生まれ。旭北高から北海道医療大学に進学し、福祉を学んだ。地域共同作業所「WAYWAYすていしょん」(豊岡十三ノ五)の立ち上げに関わり二年間勤務。その後、滋賀県社会福祉事業団に移り、NO―MAの運営や障害者のアート作品に関する著作権保護などの活動にあたっている。

 齊藤さんが国際的な美術展の企画運営に携わるのは今回が初めて。旭川を皮切りに滋賀、東京を巡回する同展を事務方として支える。

 今展は、スイスのアールブリュットコレクションと日本のアウトサイダーアートを一緒に展示する企画。スイスから輸送される五十七作品は、時価にして約一億円相当とされる。齊藤さんは「スイスから作品を旭川へ運び、滋賀、東京と巡回して再びスイスに戻すまで、約千七百万円もの費用がかかるのには驚きました。国際的な美術展の裏方としての知識がゼロに近かったので、驚きと戸惑いの連続です」とこれまでの準備期間を振りかえった。また「スイス・アールブリュットコレクションからの作品が約一億円と評価されるのに対し、日本側の作品八十点は、現在のところ金額で評価されておらず、授産品的な扱いを抜け出ていません。今展を契機に日本のアウトサイダーアート界からスターが生まれることを期待しています」と話した。

 また、同展を主催するNPO法人ラポラポラの理事代表、工藤和彦さん(37)は「旭川出身の齊藤さんが、滋賀のNO―MAを舞台に障害者とアートに関する様々な課題をクリアしながら頑張っています。もちろん今展は地元ということもあり、当初から深く関わって尽力してくれています。陰でアウトサイダーアートを支える裏方の存在も知ってもらい、より同展を楽しんでもらえたら」と話していた。