img全国の都市と農村の共生、交流に関する優れた取り組みに贈られる第五回「オーライ!ニッポン大賞」の審査委員会会長賞に、〇五年から修学旅行で旭川の西神楽・就実地区を訪れ、地域住民と交流を続けている岡山市の私立女子高・就実高校が選ばれた。関係者は同じ名前が取り持つ縁で始まった交流が評価されたと喜んでいる。

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この賞は「オーライ!日本会議」(代表・養老孟司東大名誉教授)、農林水産省などの主催。同校は一九〇四年(明治三十七年)創立。就実の名は一九一一年から使われている。百周年を控えた〇三年秋、校名と同じ地名が旭川市西神楽にあることを発見。その由来がともに一九〇八年(明治四十一年)に出された戊申詔書の中にある「去華就実」であることが分かった。学校の東側を流れる川の名が偶然「旭川」である縁もあり、就実地区との交流が始まった。

翌〇四年夏には、就実高校職員が初めて就実地区を訪問。秋には現在生徒の受け入れ事務局を担当している就実自治会の前田時男さん(55)艶子さん(55)夫妻が、就実高校の創立百周年記念式典に出席、相互交流が始まった。

そして〇五年六月の修学旅行で初めて生徒が就実地区を訪問。大雪山系や十勝岳連峰を一望できる「就実の丘」で植樹やカボチャの種植えを体験したり、地域の人たちとジンギスカンパーティーを行うなど交流を深め、現在も続いている。

〇六年には就実地区から十五人が高校を訪問。この時、一行は、九〇年の就実小学校閉校時に作られた「就実音頭」を紹介した。閉校後はほとんど聞く機会がなかったこの音頭を、昨年の修学旅行に参加した生徒たちが出発前に練習して就実の丘で歌い、踊って地域の人を喜ばせた。旅行終了後も、生徒が植えた作物の生育状況を定期的に知らせたり、収穫した作物を高校の文化祭で販売し、益金を地区自治会に贈るなど、相互の交流はさらに深いものになっている。

受賞について、交流に当初から携わってきた同校企画広報部長の石田省三教諭(58)は「今年卒業した生徒の中には、再び就実の丘を訪れようと、計画している子もいるようです。協力してくれた旭川市の皆さんに感謝し、ぜひもっと多くの人にこの交流を知ってもらえたらと思います」と話している。

また受け入れ側の就実自治会の椿芳夫会長(60)は「今回就実高校がこのような賞に輝いたことは、私たち就実地区の住民にとっても大きな喜びです。この交流をこれからも細く長く続けていきたいと思います」と受賞を喜んでいる。

あす十二日には東京で表彰式が開かれ、同校は事例発表「若い力―次世代がつなぐオーライ!ニッポン」に登場。一日に卒業式を終えたばかりの三年生四人が交流の模様を発表するほか、就実音頭も披露する予定だ。