img旭川石川県人会(波岸裕光会長)の平成二十年度総会、懇親会が十日、旭川ターミナルホテルで開かれた。石川県無形文化財の御陣乗(ごじんじょう)太鼓を楽しむ会も開かれ、勇壮な響きが参加者を楽しませた。

御陣乗太鼓は一五七六年、能登半島に上杉謙信の軍勢が進攻してきた時、武器を持たない村人が一計を案じ、ケヤキの皮で作った、鬼や亡霊のような面をかぶり、海藻で作った髪を付けて変装。夜、かがり火をたき、奇声を上げながら太鼓をたたいた。これを見た軍勢が恐れおののいて退散したという逸話に基づいている。四百年以上門外不出だったが、県人会と旭川観光協会の熱心な働きかけで、十年ほど前に初めて旭川への伝授が許された。

この日は旭川で太鼓の伝承に努める常盤木(ときわぎ)会の谷口詔一さんら六人が登場、鬼気迫る面をつけて、交代しながら絶え間なく太鼓をたたく姿に、集まった約三十人のメンバーは引き込まれていた。

波岸会長は「せっかくの財産なので、御陣乗太鼓を県人会のPRに活用していきたい」と話し、今後は総会に合わせて毎回「楽しむ会」を開くという。また、県にゆかりがなくても入会出来る「賛助会員」制度を新設し、広く市民に御陣乗太鼓を広めていく計画だ。