img第四十一回小熊秀雄賞の贈呈式が十日、市民文化会館小ホールで開かれた。運営の母体が市民実行委員会(松田忠男会長)に代わった新生・小熊賞の第一回とも言える贈呈式の会場には、市民百五十人が参加、受賞を祝福した。

四人の選考委員による白熱した論議の末に、二作同時受賞となった、「タマシイ・ダンス」の新井高子さん(41)=東京在住=と「サム・フランシスの恁麼(にんま)」の竹田朔歩さん(57)=奈良県在住=の二人に、松田会長から正賞の「詩人の椅子」の目録と副賞三十万円を半分ずつ、十五万円が贈られた。

式の後の記念講演では、米国生まれの詩人・エッセイスト、アーサー・ビナードさんが小熊の詩の一つにちなんだテーマ「下町でしゃべりまくれ」と題して講演。ユーモアを交えながら「小熊をプロレタリア詩人という狭い箱の中に閉じ込めるのは、小熊を過小評価しようとする企み。小熊の世界は、もっともっと広く深く、大きい」などと語りかけた。

ラジオや雑誌で活躍しているビナードさんの話を聞こうと、二百二十人の聴衆が詰めかけ、講演終了後には著書にサインを求める列ができるほどだった。