市内神居町共栄の伊野川周辺に大量の焼却灰などが運び込まれていた問題で、灰の分析を行っていた市環境部は二十三日、ヒ素が国の環境基準(一リットル当たり〇・〇一ミリグラム)を超え、〇・〇一三ミリグラム検出されたと発表した。ただ、基準を超えても「直ちに人の健康や周辺の生活環境に影響を及ぼす懸念はきわめて少ない」(市環境部)としながらも、灰を持ち込んだこと自体が法令違反にならないか、引き続き調査を行うとしている。

焼却灰については、四月八日に市民から「燃え殻などが投棄されている」との通報を受け、翌日から市が調査を実施。市道の共栄・富沢道路線と伊野川に挟まれた約一・九ヘクタールに、約六万六千立方メートルの土砂や焼却灰などが運び込まれていることが分かった。

その後、同十六日に堆積物に含まれる焼却灰の有害性を調査するため、周辺九地点の表土から採取したサンプルを三つにまとめ、それぞれ分析調査を行ってきた。

結果、サンプル三つのうちの一つから、基準値を超えるヒ素が検出された。ただ、カドミウム、鉛、シアンなどの化合物とダイオキシン類など十種類については、いずれも基準値を下回った。

また、ヒ素についても表土ではなく、十~六十センチほど掘り下げて採取したサンプルを改めて検査したところ、基準値の範囲内だった。

市は、燃え殻を運び込んだことに、廃棄物処理法違反などがないか、引き続き関係者から事情聴取を行い、調査を進めることにしている。