imgスーツケースの中に収まるミニ雑貨店「旅する雑貨店」を始めたのは、知的・精神的な障がいのある創作者の芸術活動を支援している「ボーダレス★アートギャラリー・ラポラポラ」(七ノ六)。同ギャラリーのプランナー、工藤和彦さん(38)が中心になって発案した。

このミニ雑貨店が全国各地のギャラリーやカフェを巡回する。すでに二十四日から、東京・阿佐ヶ谷のギャラリー二軒で展示されている。

スーツケースの中に収められたキットを説明書に従って組み上げると、かわいらしい雑貨店が登場する。中には、ラポラポラで取り扱う数々の雑貨が入っている。

img販売品は福祉施設の授産品が多い。工藤さんは「福祉施設は概して製品の販路開拓に頭を痛めている。一方、ギャラリーは小ロットの割に高くつく送料や、在庫管理にデメリットを感じている。このミニ店舗ならそうした手間をラポラポラが代行できる。施設、ギャラリー双方にとって効率が良い手法だと考えている」と話す。

店舗制作を担当したのは、旭川在住の絵本作家・堀川真さん、福岡の造形作家・森貴義さん、沖縄の張子作家・豊永盛人さんの三人。それぞれが一店舗を制作した。

ラポラポラは、同名のNPO法人が運営している。今回の企画には日本財団から百万円の助成金を得たが、全体的な財政状態は楽でなく、工藤さんをはじめとするスタッフは、このミニ雑貨店がもたらす“新風”に期待を寄せている。

工藤さんは「雑貨の単価なので、それほどの収益にはならないだろうが、思ってもみなかったような新しい展開に繋がるのを期待している。ミニ店舗には、ボロボロになるまで旅をして来てほしい」と話している。