陶芸家の工藤和彦さん(38)が自身の作品について語る「うつわが語る上川地方の粘土~陶器づくりと地層の歴史」が十一日午後二時から、旭川エスタ(宮下七)四階のイベントスペースで開かれる。科学や技術の話題を切り口に、旭川の隠れた魅力を発掘しようと開く「あさひかわサイエンス・カフェ」の第五回目のつどい。

工藤さんは神奈川県出身。高校時代から陶芸を始め、卒業後は滋賀県信楽で修行。二十三歳のとき、剣淵町で粘土が採れることを知り、同町に移住した。

この粘土は、数万年も前に中国大陸から風に乗って飛んで来たものだとされる。粒子が細かくて軽い上に、耐火度が低く、また乾燥による収縮も大きい。工藤さん自身が「最悪の粘土。本当に使いにくい」と話すほど、陶芸に向かない粘土だ。

しかし、この粘土に鉄分が多く含まれていたことから、「黄粉引(きこひき)」と呼ばれる独特の作風が生まれ、自分だけの技として確立した。工藤さんが黄粉引に取り組み始めてから、今年で十一年目に入っている。

当日は工藤さんのほかに、道立地質研究所の八幡正弘さんを迎える。工藤さんが黄粉引の確立に至った苦難の道程について語り、八幡さんがその粘土の特徴や、粘土層ができる過程について解説する。二人の話を通じて、上川地方の粘土の秘密に迫るという、興味深い内容になりそうだ。

参加無料。飲み物片手に、気軽に参加を。問い合わせは旭川高専准教授の高田さん(TEL55―8036、旭川高専物質化学工学科研究室直通)へ。