企業の合併と買収をテーマに「事業継承セミナー~事業承継問題とM&A戦略~」と題する講演会が十六日、旭川グランドホテルでおこなわれ、市内の会社経営者ら約百十人が参加した。旭川信用金庫の主催。

 第一部は日本M&Aセンターの三宅卓社長が「成功するM&Aの進め方」について、同社が全国で手がけたM&A成功の実例のほか、後継者問題や先行き不安をM&Aで解決した事例を具体的に説明した。

 第二部は昨年三月に北海道村(本社・小樽市、庄子敏昭社長)に全株式を譲渡するM&Aをおこなった、創業一九一四年(大正三年)の老舗菓子店の梅屋・山本憲彦前社長と小城会計事務所・小城公明所長による対談がおこなわれた=写真。

 山本さんは六十五歳で第一線を退くことを五十代で決意。六十歳の時、五年かけて後継者を決めていく作業に入ったという。身内から後継者を選ぶことができなくなった後、二つの会社から事業を継承する話があったが、金融機関の意向やリーマンショックの影響で、契約寸前のところまでいきながら頓挫した過程を臨場感あふれる話しぶりで披露した。

 後継者が見つからない窮地に陥った山本さんは、金融機関の紹介で日本M&Aセンターに継承先を求めた。その一つが北海道村だった。梅屋と庄子社長の身内が経営していた庄子製菓(本社・旭川市)が旧知の間柄であったことや、庄子社長の経営戦略が明確であり、山本さんと経営に対する考え方が一致したこと、全従業員を継続雇用する条件をクリアしたことなどから話はトントン拍子に進んだ。

 山本さんは「現在、北海道村とは並列の独立した関係にあり、お互いが協力しながらやっている。これまで以上に生産能力が上がり、北海道村からの依頼を受けて商品開発もおこなっている。第二の人生を送るための時間的余裕を持てたことや従業員を解雇することなく事業を継続できて社会的責任を果たし、北海道村とのM&Aに満足している」と語った。