旭川大学経済学部の竹中英泰教授と江口尚文教授が共著で三月下旬に上梓した「あさひかわ学―多角的に観る旭川」が好評だ。

 旭川大学地域研究所共同研究報告書という形態を取り、八章からなる。竹中氏が経済学を、江口氏が経営学を、それぞれ専門的立場から執筆している。

 市内百五十店のラーメンを食べ歩き調査した江口氏は第五章で「旭川ラーメンの経営学」について書いている。「ラーメン業界という塊で競争力を発揮 している」「平均すると、一人当りの年間消費量は三十四・二食」「ラーメンを食べる店は、どこでも良いというわけではない。わざわざ店を選んで、満足感も 味わいながら食べるという、ラーメン行動が浮かび上がる」「(人気の高い店を三店まであげたもらったところ)よし乃、山頭火、蜂屋、梅光軒、天金の順」 「創業三年目と十五年目が経営の曲がり角」など研究結果が記されている。

 第六章で竹中氏が菅野元園長や小菅前園長の話を聞いて、動物園をテーマにした「旭山動物園の経済学」をまとめている。「(入園者がどん底に落ちた 時)開園から二十年以上を経て飼育員たちは専門職としてのレベルを高めていた時期でもあった。…充分な予算がつかないなかで手書きの看板やワンポイントガ イドなどさまざまな工夫が、始まりつつあった。例えば、当時の菅野園長は関係者や飼育員に声をかけて『理想の動物園』を構想する園内研究会をたちあげてい た」「一九九八年から二〇〇五年までの八年間の投資額は約二十九億円となる。この投資額にかかわる波及倍率が一・九九で五十八億円、入園者増加によるは波 及倍率が四・五九で百三十五億円、合計した総合波及倍率が六・五八で百九十三億円という推計結果が報告されている」と解説する。

 このほか、〇九年に旭川大学でおこなわれた連続講座「あさひかわ学」(十四講)も収録されている。

 定価千五百円(消費税含)。市内の冨貴堂書店各店とまちなか交流館で販売している。