旭川市などが主催する「中国ビジネスセミナー」が八日、旭川地場産業振興センターで開かれた。

 講師の板屋美幸さんは一九七一年(昭和四十六年)生まれで、旭川北高、藤女子短大英文科卒。日本航空の客室乗務員として五年間勤務した後、上海外 国語大学と復旦大学(ともに上海市)に計二年半留学した。その後、上海でテレビや情報誌の仕事を経験し、〇五年には日本企業の中国における宣伝業務を請け 負うPR会社シーズコミュニケーションを起業。今年、日本のPR会社ベクトル社と業務提携し、ベクトルチャイナの総経理(日本の社長にあたる)に就任し た。上海在住十四年になる。

 板屋さんはまず、広い中国はメディアの数も桁違いに多いことを紹介。新聞は約二千紙、雑誌は九千五百誌、テレビは三千局以上あると説明した。「全 国紙の人民日報は通常、一般市民には読まれない。市民は地元のタブロイド紙などを読んでいるが、収入や学歴・職業によって読む媒体が違い、また記事には高 い信頼が置かれている」などと話した。北海道旅行や物産の情報発信には、こうした地元の週刊新聞が向いているという。

 板屋さんはまた、インターネットについても「中国国内のユーザーが四・五億人という巨大な規模になっている」と紹介。「しかし、中国の検索サイト で『北海道 温泉』と入力しても上位十件中に北海道の温泉は一つもヒットしない」と実例を挙げて、「基本的な情報が発信されていない」と現状を語った。

 こうした点から板屋さんは「まず自社HPの中国語版をぜひ作って」「特定のキーワードの入力で検索結果が上位に来るようにするサービス(月額三千元から=日本円にして約四万五千円から)の活用を」と勧めていた。

 さらに中国特有の消費者行動として“口コミ”の重要性をあげ、「ネットやイベントを活用して口コミを仕込むことも大事」と説いた。