一九九五年(平成七年)から昨年までの十五年にわたり、大雪クリスタルホールを拠点にジャズマンス・イン・旭川(JMIA)」の活動を中心になって進めてきた音楽プロジューサー・佐々木義生さんがシルクロードを題材とした新たな音楽活動に挑戦する。

 十二日(土)午後六時半から、同ホールで開く「第一回ザ・センス・オブ・エイジア・クリエイティブコンサート」がそれだ。

 佐々木さんは、これまで旭川の風土に根ざした音楽を創造する活動に取り組む一方、小中学生によるジュニア・ジャズオーケストラやアジアの子どもたちを招いた音楽交流などにも力を注いできた。

 JMIA活動にひと区切りを付けた今年は、二つの大きな課題を自らに課した。八月中旬、大震災の被災地・福島県いわき市の子どもたちを招き、パー カッションワークショップ&コンサートを開催。いわき市と旭川市の子どもたちが一緒になって音楽づくりを楽しんだ“心の交流”を実現。

 もう一つが十数年来温めてきた「アジア地域の風土に根ざした音楽の創造発信」をテーマにしたシルクロードだった。

 「アジアンキッズコンサートでバリ島の子どもたちが演奏した音楽は、彼らの生活や風土とは切っても切り離すことができないもので、私たち日本人が 日ごろ聴いている欧米中心の音楽とは異質のものです」と前置きし、「アジアの感性(センス)は欧米のそれとは大きく違うものだとずーっと考えてきました。 シルクロードを題材とし、アジアの中に眠っている音楽センスを表現していきたい」と話す。

 旭川から発しローマに至るまで、陸と海のシルクロードを東・東南・南・中央・西アジアの五地域ごとに五年間にわたって音で表現する。

 今年は東アジア篇で、国内外で活躍しているヴァイオリンの金子飛鳥やギターの宮野弘紀、パーカッションのヤヒロ・トモヒロら十人のミュージシャンが集まる。

 佐々木さんは演奏する十一曲を、ほぼ書き上げた。「曲づくりは一月から三月に集中しました。その時はリビアでカダフィが抗議行動をする自国民を殺したり、大震災で多くの犠牲者が出た時期でした。苦悩や悲しみが音楽づくりの原点になったとしか思えない」と振り返る。

 ベース奏者の佐々木さんを含め十一人のミュージシャンは弦・管・打楽器奏者だけで、現代音楽に欠かせないピアノなどは入っていない。「日本でいえば雅楽をイメージするもので、音楽の原点である静かでシンプルな原始の音を感じてもらいたい」と話している。

 前売チケットは一般・三千五百円、学生とハートフル・千五百円(当日五百円増)。クリスタルホール売店やジュンク堂書店、玉光堂旭川店、ヤマハミュージック北海道旭川、冨貴堂末広店、同豊岡店、同南六条店などで取り扱っている。

 問い合わせはJMIA実行委員会(℡22―3567)まで。