三浦綾子記念文学館(神楽七ノ八見本林内)で、綾子さんの作品「岩に立つ」の企画展が開かれている=写真。

 「岩に立つ」(一九七九年・講談社)は、三浦夫妻の家を建てた大工の棟梁、鈴木新吉氏の半生を描いた作品。綾子さんがその人柄に惚れ込んで、聞き取りを収録した録音テープを元に、構想から十数年をかけて書き下ろした。文章は同氏の語り口調で書かれている。

 鈴木氏は一九〇三年(明治三十六年)、宮城県で生まれ、旭川の米飯で子ども時代を過ごした。十三歳で大工見習いとなり、徴兵を経ながら四百軒以上 の家を建てた。三浦夫妻の関係では、商店を併設した住宅(一九六一年に完成)と新居(一九七一年)を建てている。敬虔なキリスト教信者でもあった。

 展示内容は、鈴木氏の弟子や家族、また建て主のコメントを中心に構成している。綾子さんの夫で同館館長の三浦光世さんによる「棟梁・鈴木新吉を偲ぶ」と題した直筆原稿、さらに同書の出版記念会で鈴木氏が三浦夫妻に贈った手作りの木製の壺も展示されている。

 三月二十八日まで。月曜休館(五月三十一日まで)。入館料は大人五百円、大学・高校生三百円、小中学生は百円。問い合わせは同館(℡69―2626)へ。