旭川のスキー場を舞台にした純愛小説「白鳥で白い大地へ」(三島江 慶著)が文芸社から刊行されています。

 スキー旅行で大阪から一人で旭川を訪れた男子大学生と、ロッジで働くアルバイトの若い女性とのラブストーリーです。

 出会って間もなく恋におちた二人は、スキー場の従業員休憩室を愛の巣にして、一カ月ほどの甘い日々を送る。しかし男は大阪に戻らねばならず、二人 は遠距離恋愛に。それでも強く愛し合い、いたわり合う二人だったが、最後に待っていたのはあまりにも辛い形での永遠の別れだった――。

 著者の三島江さんは一九六六年(昭和四十一年)、千葉県の生まれで、大阪市在住です。そのためか、北海道弁の表現は、ちょっと地元の人間にはいた だけない部分も。しかし最初から最後まで軽やかなテンポの読みやすい文体で、かつ二十年の歳月の移ろいをも取り込んだ感動作に書き上げています。

 三島江さんは北海道が大好きで若い頃から何度も訪れています。この小説のために〇九年初夏と一〇年冬に旭川や当麻を取材旅行しました。旭川駅舎は 新旧の両方が登場しますが、特に旧駅の一番ホームを舞台にした別れの場面は、新旧両方を知る旭川市民にとって、その切ない情景が目に浮かぶようです。

 千百円(税別)。問い合わせは文芸社(℡03―5369―2299)、またはお近くの書店へ。