壺屋総本店なゝ花窓館(忠和五ノ六)内に、ゆがんだ繭(まゆ)のような形状の白い茶室「織部の茶室」が設置され、十五日に報道陣に公開された。

 この茶室は、建築家の隈(くま)研吾さん(57)が設計した。織部の器のゆがみに着想を得たという。プラスチック製のダンボールを材料に、接着剤は用いず、梱包用のバンドで作り上げている。

 これまで岐阜県多治見市を皮切りに、イタリアのローマとシチリア、中国の北京と上海で作り、今回が六回目。材料は展示する地方で入手するが、地方によって同じ材質でも微妙に色が異なるため、雰囲気が変わるという。

 今回は東海大学旭川キャンパスで建築を学ぶ学生たちが組み立てを担当。五月から材料を切り出す作業を始め、十三~十五日の三日間で組み上げた。東大教授でもある隈さんは「建築の学生は、机上で学ぶ環境ばかりで現場を経験する機会がない。これまで設置した地域でも学生たちに作業させてきた」と話す。

 室内に入ると、床面からも内照光で照らされているため、光に包まれるような感覚がある。隈さんは「建材による感覚の違い、また日常とは違う空間の中での味覚の違いを楽しんで欲しい」と話している。

 茶室は二十二日(金)から利用できる。七月二十日まで、織部まんじゅうセット(六百三十円)などを味わうことが出来る。午前十時半~ラストオーダー午後六時。問い合わせは同店(TEL61―5182)へ。