「~時代を照射する文芸評論で現代文学をリードした~高野斗志美展」が旭川文学資料館(常磐公園常磐館内)で開催中だ。高野斗志美さんの没後十年を記念する企画展。

 

 高野さんは一九二九年(昭和四年)鷹栖町出身。青森・弘前高から東北大学哲学科に進み、旭川北高の教諭時代に発表した「オレストの自由」が新日本文学賞の評論部門で入賞し、評論活動へ。その後、作家の安部公房や井上光晴、倉橋由美子の評論などを発表。三浦綾子に関する講演も数多い。旭川市文化奨励賞を受賞。旭川大学学長も務めた。二〇〇二年肺がんのため、七十三歳で死去。

 

 高野さんの本格的な文学展は初めての開催。中学・高校・大学時代の写真パネルや通知箋、ノート、賞状、評論や書評、詩、随筆などの直筆原稿など、約五百八十点を展示している。

 

 妻の信子さんは「高野が弘前高時代、尊敬する先生がレッドパージで職場を去らなければならなかったことに抗議してストライキを主導するなど、血気盛んな青春時代の写真も展示されています。これまで知られていなかった激しい側面を持った高野も知っていただけると思います」と話している。九月八日(土)まで。