「手仕事があったから、生きられた」

 「かっちゃのあみもの 小原ハル子 九十二才の手仕事展」が二十六日(水)から、デザインギャラリー(宮下十一)で始まる。

 小原さんは下川町在住の九十二歳。三十八歳のとき、「重症筋無力症」という難病を発症したが、病気と闘いながら六人の子を育て、趣味で編み物を続けてきた。本格的に毛糸の鉤針編みを始めたのは五十五歳のころ。以来三十七年間、毎日鈎針を手にしてきた。生涯受けた手術は八回。八十六歳の時には、「編み物がしたいから」と手術を受け、わずか二週間で退院して手仕事に復帰した。

 小原さんの長女で今展を企画した、手作り布製品の製作やリメイクの「布夢・布夢」の代表・丹羽留利子さん(63)は、「『手仕事があったから生きられた』というのがかっちゃ(=小原さん)の口ぐせです。いくつになっても自分の身でやること、やりたいことがあり、作品を通して感動や元気を私たち兄弟姉妹、孫に与えてくます。『わしは厄介もんだ』と言いますが、私たちの方が〝子孝行〟されてます」と笑う。

 小原さんは七年前、木彫りが趣味だった夫の義夫さんと「とっちゃ・かっちゃの手仕事展」を開いており、今回が二回目の展示会となる。義夫さんは二年前に亡くなった。毎朝、義夫さんの仏壇の前で三十分のお経を唱えているという。今でも下川町で七十一歳の長男一家と自宅で暮らしているという元気さだ。

 「独特の色彩センスと、私たち子や孫に引き継がれている毛編み物ならではの魅力があります。ぜひご覧になって下さい」と丹羽さんは話している。

 入場無料。三十日(日)まで。同ギャラリーの開館時間は午前十時から午後六時。問い合せは丹羽さん(TEL47―2883)または光島さん(TEL83―2087)まで。