陶芸家工藤和彦さん(42)の個展が三浦綾子記念文学館(神楽七ノ八見本林)で開かれている。旭川の優れた文化活動を発信する目的で同館が主催する事業の一環。

 工藤さん独自の技法で黄色味のある焼き肌の「黄粉引(きこひき)」をはじめ、近作の「緑粉引」「白樺ホワイト」など二十数点が並んでいる。「三浦綾子さんの作品に垣間見える『日常』にあわせて、奇抜でない、くらしの器を選びました」と工藤さん。ひときわ目を引く大壺は、工藤さんが修行時代を過ごした信楽の茶壷を黄粉引で表現した作品だ。

 同館の松本道男専務理事は「工藤さんのファンが多く来館して下さっています。洗練された作品は、飾るのにもふさわしく、また当館の雰囲気にもマッチしています」と評している。

 また工藤さんは、同館での個展開催について「悩みを抱えて生きる人が多い今の時代にあって、綾子さんの文学は人々に寄り添う作品だと思う。その精神性の高さに私も近づきたいと願っています。実際にホールに作品を並べてみて、その思いをより強くしました」と話していた。

 三十一日(木)まで。月曜休館。午前九時~午後五時(入館は四時半まで)。入館料は大人五百円。問い合わせは同館(TEL69―2626)へ。