第四十七回小熊秀雄賞記念フォーラムが十七日午後、旭川トーヨーホテルで開かれた。市民実行委員会(橋爪弘敬会長)の主催。

 旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(一九一〇―一九四〇年)の名を冠した現代詩の公募賞だが、今回は最終選考会(四月六日・扇松園)で四人の選考委員が三時間を超える激論の末に「該当作なし」の結論を出した。

 予定していた贈呈式の代わりに企画されたフォーラムは、小熊の代表作から「しゃべりまくれ」と題して行われた。選考会の司会を務めた、実行委のメンバー、石川郁夫さんが選考の経過を報告。選考委員の一人、石本裕之・旭川高専教授が最終選考会に臨む自らの気持ちを吐露しながら応募作を講評した。

 記念講演では、上富良野町生まれ、旭北高から早大に進んだ文芸評論家、岡和田晃さん(32)が、異才の作家向井豊昭の小熊論を独自の解説で講演。

 また、福島県南相馬市で、「フクシマ」が起きる遥か以前から原発事故を予見する作品を発表し続けてきた詩人の若松丈太郎さん(78)は、小熊が生きた時代と重なる、地元出身のドキュメンタリー映画監督、亀井文夫の生涯をたどりながら、「小熊が結核で倒れずに戦後を生きたならば、やはり亀井と同じく、反戦、反核、生き物みなトモダチという詩を書き続けただろう」と集まった五十五人に語りかけた。