ドキュメンタリー映画「我々のものではない世界」(パレスチナ・アラブ首長国連邦・イギリス合作、二〇一二年、九十三分)の上映会が二十五日(土)、まちなかぶんか小屋(七条買物公園)で行われます。neoアジア映画祭in旭川の企画です。
舞台はレバノン南部のパレスチナ難民キャンプ、アイン・ヘルワ。ユダヤ人によるイスラエル建国に伴って始まった戦争を逃れた難民のためのキャンプが設置されて六十年。現在まで状況は変わることなく、人々は祖国へ帰ることもできず、仕事にも就けず、ただ時間を潰す毎日を送っている。かつて戦闘員だったが今は空き缶売りをしている、監督の叔父や、友人でPLO(パレスチナ解放機構)に所属するアブ・イヤドの姿を通じて、鬱屈した状況を映し出す。アブ・イヤドは若くしてPLO戦闘員としてキャンプを守り、英雄と呼ばれていた。しかし難民の帰還を先送りにし続けるPLOに不信感を抱き、やがてPLOから除籍される。その時、彼が行動に移した計画とは――。
監督のマハディ・フレフェルは、アイン・ヘルワで生まれ、現在はデンマークで生活しています。本作は幼いころから父親がホームビデオに収めた映像と、自身が撮影した映像とを織り交ぜて制作した作品。山形国際ドキュメンタリー映画祭など各国で高い評価を受けています。
企画した光岡慎二さん(76)は、「先送りされ続け、いつしか忘れ去られた人々が生き、暮らす姿です。行き場の無さを抱える日本の若者たちにも響くのではないかと思います」と話しています。
上映は①午前十一時②午後二時③午後六時半の三回。チケットは一般千円(当日千二百円、会員八百円)。チケットの購入と問い合わせは、まちなかぶんか小屋(℡23―2801)へ。