大武アジア塾 「参考になるベトナム人の思考」 元国税庁長官の大武健一郎さんが塾頭となり、年二回開催している「大武アジア塾」の九回目の勉強会が十日、旭川グランドホテルで開かれた。塾生は旭川市内の若手経済人たち。現在ベトナムを中心に東南アジアを飛び回り、この地域の情勢に精通している大武さんの講義を聞き、今後の自社の経営に生かすことを目的に五年前から開かれている。当日は約四十人が参加した。

 大武さんは自身による近著「『平和のプロ』日本は『戦争のプロ』ベトナムに学べ」(毎日新聞社刊)から、世界情勢に対する日本とベトナムの認識の相違などを紹介。「長い間中国の侵略に抗し、アメリカと戦ったベトナム人の思考は、日本人にとって大いに参考になる」と解説した。

 また「アベノミクスにより、富める者はますます富み、中間層の所得は減ってきて、所得格差と地域格差は広がっていくだろう。その中で人口減少が続く地方都市が生き残っていくには、他地域から人を呼び込むしかない。そのための地域づくりの戦略が必要だ。これまで経済の活性化には人・モノ・金が肝要だと言ってきたが、これからは人・人・人の時代となった。旭川の素晴らしさを世界にもっと発信すべき」と力説した。