旭川大学経済学部の齋藤ゼミ(齋藤眞宏准教授)の学生と、韓国・延世大学(ソウル市)の史学を専攻する学生が九月二十三日、インターネットのスカイプを使い、日本と韓国間の歴史的な関係についてディスカッションした。

  主催したアジアの平和と歴史教育連帯(韓国)は三年前から、毎年韓国の大学の教員らが日本国内の大学で講義を行ったり、その逆のかたちで講義を行うなど、草の根による交流を図ってきたが、スカイプを使ったディスカッションは初めての試みだ。

 今回は齋藤准教授が延世大学に出かけ、特別講義を行う中で、ディスカッションが行われた。主な内容は、日本の韓国植民地支配について。齋藤准教授は両大学の学生らに、「中学社会科『中学生の歴史』」(帝国書院)の中の「日本の植民地支配」「韓国併合」「朝鮮・台湾・『満州』での政策」「植民地・占領下のようす」の記述をコピーして、事前に渡し、議論の資料とした。

 齋藤准教授が両大学生の橋渡し役を務め、九十分にわたって行われた。延世大学の学生は約三十人、旭川大学からはゼミ生の四人が参加し、成均館大学大学院で学ぶ日本人留学生が通訳した。

 齋藤准教授によると、韓国では民族主義的な教育のもと、日本の植民地支配を相当詳しく教えており、その内容には政府の意向が色濃く反映されているという。そのため、議論が感情的になる懸念もあったが、実際には冷静な議論が展開された。

 参加した阿部信太郎さん(20)は「戦争中に日本が韓国に対して行った行為について、河野・村山・小泉談話で謝罪していると言ったことに対して、『だが、小泉首相は任期中にしきりに靖国神社に参拝している』と指摘された。でも、韓国の教科書もベトナム戦争で、韓国軍が行った都合の悪い行為についての記述がないと話すと、認めてくれた。お互い理解し、共感できたところもあった。時間が足りなかった」と感想を話す。

 齋藤准教授は、参加した延世大の学生について、「学生たちの真剣な表情を見ると、充実した時間だったのではないか。『有意義だった』と話す女子学生もいた。でも、これはスタートに過ぎない。若者たちが自分たちの意見を率直に出し合う機会を作っていく必要があると考えている。これからもこのようなディスカッションの場を作っていきたい。それが両国間の理解につながる」と話した。

※10月8日、記事を一部修正しました