熟年女性の仲良し二人がギャラリー喫茶「舞・ふれんど」で、俳句・書と油絵の「ふたり展」を開く。

 俳句と書が趣味の前田恵さん(71)と、油絵を描いている大澤道代さん(68)は、市内春光の同じ町内に住んでいる。付き合いは二十年ほどになるが、互いの趣味を一緒に発表するのは初めてだ。

 きっかけは、前田さんの「田水張り 方舟となる 母の家」の句。春、水が張られた田んぼに、母親の家が方舟のように浮かぶさまをよんだ句は、所属する結社の賞を取った。その記念にと大澤さんがイメージを膨らませて一昨年、百号の大作を描いた。

 以後、前田さんの句を大澤さんが絵で表現するようになった。「蕗の葉や 地図より消えし下苫鵡(しもとまむ)」。父親が教員だった前田さんは、小学校の三年間を占冠村の下苫鵡地区で過ごした。戦後、樺太からの引き揚げ者が開拓に入った山あいの集落。当時、小学校には百二十人もの子どもがいたが、現在は無人となった。その寂寥(せきりょう)を表現した句に、「ふるさと会」に集まる当時の住人たちが感動し、土地や石、お金を寄付して、元集落に句碑を建立した。その碑の横に立つ前田さんの姿を描いた絵が、今展のメインの作品になる。

 二人のコラボ制作を知った知人が、二人展の開催を勧めてくれた。

 二十一日(月)から四月三日(日)まで開く「ふたり展」には、前田さんの句・書と大澤さんの三号の小品から百号までの油絵、約二十点を展示する予定だ。

 「恥じをかくために始めてしまった気もしますが、こんな機会は滅多にないので、思い切ってやることにしました」と二人は笑顔で顔を見合わせる。

 ギャラリー喫茶「舞・ふれんど」は、午前十時から午後八時まで。問い合わせは、同店(TEL54―0404)へ。