ふだん記旭川グループ(岡田勝美代表)が『旭川のふだんぎ』六十四号を刊行した=写真。

 ふだん記は東京都八王子市の故・橋本義男さんが一九六八年(昭和四十三年)に「庶民自らが庶民の歴史(自分史)を記録する」ことを提唱して始まった運動。「ふだん記」は「ふだん着」の気楽さで、上手下手を競わず、自分の言葉で日頃の思いや生活体験を記録しようと名付けられた。

 旭川グループは八〇年(同五十五年)に文友十一人、四十四ページの創刊号でスタートした。三十六年を経た現在、グループ員は約百八十人(市内の他、道内外を含む)。六十四号には旭川グループ百人、他グループから十六人、計百十六人が寄稿している。うち新人は二人。

 新しく文友となった旭川市在住の河本美穂子さんは、「鉄人28号と渾名つけ、ごめんなと六十路の彼は」と題して書いている。

 催し物があった旭川の道の駅に出かけた時、五十年以上も前、小学四年生のときに転校してきた男性に出会った。男性は河本さんに「鉄人28号って、渾名を付けて、ごめんな」とあやまり、頭を下げたことを懐かしさとともに、「私は体が弱く無口でおとなしく体育が苦手な、どちらかというと引っ込み思案で、解っていても手を上げるのが好きではなく、いつも静かに座っていた。入ってきた転入生(よっぺ)はいたずらが大好きで、ちょっかいを出して大騒ぎを起す。少しくらいのことは放って置くのだが、あまりにもひどいと私は怒って立ち上がった。『絶対に許さない!』と。まさに『鉄人』に成っていたのだろう。六十を過ぎてから謝られるとは…。今まで、ずっと彼は心のどこかに何時も気になっていたのでしょう」と書いている。

 編集部では現在、六十五号の原稿を募集している。誰でも投稿できる。四百字詰め原稿用紙五枚がメド。会費や会則はないが、一枚につき千円の発行協賛金が必要。締め切りは九月末。

 編集部では「いま書いておかねばの気持ちで、体験記や思うことを記録する文章を募集しています」と呼び掛けている。

 『旭川ふだんぎ』は旭川冨貴堂豊岡店とジュンク堂書店で一冊千五百円(税込)で販売している。

 問い合わせは、岡田代表(TEL31―1248、〒078―8235 旭川市豊岡五―三―九―十九)へ。